トップ写真の解説
ハネビロエゾトンボは,兵庫県下でも出会いにくいトンボになってしまいました.Web ページ用の写真を集め出してから2年間,まったく出会うことがありませんでした.2011年の初夏に,下の幼虫が久しぶりに採れ,その夏にやっと成虫にも出会えました.出会えるときは出会えるもので,メスが合計6回も入ってきました.
産卵にやってきたメス.2012.8.5.
成虫
6−7月に羽化し,9月ころまで成虫が見られます.羽化してすぐの未熟なときは,林縁の空き地などで摂食飛翔をしているのをよく見かけます.成熟すると流れに戻ります.オスは長いホバリングを交えたパトロール飛翔をしてメスを待ちます.産卵は連続打水・打泥産卵です.
オスのなわばり飛翔.2011.8.27.
幼虫
ハネビロエゾトンボは流れに生息するエゾトンボです.林の中のうす暗い細流や,湿地の細流,河川上流域のうす暗い渓流などに幼虫は見られます.流れに生息する幼虫に共通する特徴だと思いますが,肛門から水を吹き出すジェット推進でよく泳ぎます.肢の環状紋や翅芽など,コントラストが強い色彩で,他のエゾトンボ属幼虫より派手に見えます.少なくとも羽化までに2年かかるようです.写真の幼虫は,ほぼ10年ぶりくらいに神戸市内で発見されたものです.
スタジオ写真.2011.5.28.