H064. ハネビロエゾトンボ Somatochlora clavata
<特ちょう>
ハネビロエゾトンボはトンボ型の幼虫です.
翅芽(しが)はまっすぐ後ろにのびています.
触角(しょっかく)はやや太く長いです.体はやや固い感じです.腹部の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第8,9節にありますが,いずれも小さいです.背中のとげ(
背棘:はいきょく)第3−9節にあります.写真2のように,
下唇(かしん)を引きのばして,
下唇側片(かしんそくへん)を見ると,その上の
側刺毛(そくしもう)の数はふつう7本で,
腮刺毛(さいしもう)の数はふつう10−11本の間です.
<似た幼虫との区別>
トラフトンボ,
タカネトンボ,
エゾトンボ,ハネビロエゾトンボは,いずれもとてもよく似ていて,区別が難しい幼虫です.この中で,
トラフトンボについては,
トラフトンボのページを見てください.
残りの2種,
エゾトンボと
タカネトンボとの区別は,とても難しいです.写真3のように,
背棘の形で見分けるか,写真4のように,
下唇を引きのばして,
側刺毛や
腮刺毛の数で見分けるしかありません.幼虫を採った場所も参考になります.
タカネトンボは池,
エゾトンボは湿地(しっち),ハネビロエゾトンボは小さな川に,ふつう住んでいます(例外もあります).
<さがす場所のヒント>
ハネビロエゾトンボは川の住人です.とくにうす暗い林の中を流れる小さな川が好みです.湿地の中の流れにもいます.写真5のように,小石がごろごろしているような流れでよく見つかります.水がなくなってもかなり生きのびることができるようで,1か月くらい水がない時期があっても,次の年羽化(うか)してきます.幼虫は一年中採れますが,
終齢幼虫は,ふつう5,6月にしか採れません.
写真5.産卵にやって来たメス.石がごろごろした浅い流れで産卵します.