トップ写真の解説
オオヤマトンボの産卵はダイナミックです.琵琶湖などの大湖に生息する個体は,広い水面を縦横に飛び回って,連続打水産卵をします.比較的小さな池では,岸辺に沿って往復飛翔しながら,まず体を岸とは反対の方向にひねり,その後体を逆にひねり直すときに打水して,水滴を岸辺の方角に飛ばしています.なかなかこの瞬間を捉えるのは難しいのですが,今回うまく岸に向かって飛ぶ水滴が写っていました.こういう瞬間が撮れるのは偶然以外の何ものでもありません.長い間写真を撮り続けてきたからやっとこの瞬間が撮れたのだと思います.
岸辺の方に向かって水滴を飛ばす打水産卵.2023.6.7.
成虫
成虫は5月に出現し,秋に入るくらいまで見ることができます.産卵は単独打水産卵で,池の中央あたりで行うときもありますが,多くの場合,岸近くを往復しながら行っています.オスは産卵に来たメスを見つけるとそれを捕らえ,交尾態になりながら池の外へ連れ出します.オオヤマトンボは黄昏飛翔をします.
池を周回飛行するオス.2023.6.7.
幼虫
オオヤマトンボの幼虫はとても大きいです.とくに冬にとれる終齢幼虫の重量感はすごいものがあります.網に入るとあばれまわり,ゲンゴロウが捕れたときのような興奮を覚えます.この写真は春に採れる若齢幼虫で,翅芽もまだ伸びていません.肢が長く,クモのようにも見えます.類似種のキイロヤマトンボは川で採れ,胴体は薄っぺらい感じです.卵は比較的短期間で孵化します.幼虫はどれくらいで成長を終えるかよく分かりません.越冬中に終齢になっているものと,5月下旬に成虫が出現したころにまだ終齢になっていないものがいて,これらは遅れて終齢になり,羽化するようです.
若齢幼虫,スタジオ写真.2011.6.11.