トンボノート
No.726. タイリクアカネの越年.2020.1.1.

みなさん,明けましておめでとうございます.

恒例?のお正月トンボ観察に行ってきました.先週,タイリクアカネが10頭ほど生き残っていたので,これが年を越すのではないかと思い,今日見に行ってみた次第です.池に入ったのは10:30.晴れていますが冷たい風が吹いていて,トンボの姿が見当たりませんでした.池の岸を一往復半ほどしたとき,キトンボが現れました.

▲今日初めて姿を見たキトンボのオス.
▲しばらくすると,また1頭池に入ってきた.

もう,キトンボは毎年のように年を越していますので,あ,いたか,という感じでした.何度も池の岸を往復してい歩いていると,だんだんとキトンボの姿を見るようになりました.しかし,一週間前に比べると数は減っていて,全部で4頭ほどしか確認できませんでした.

そんなとき,翅が黄色くなく,体が赤いトンボを見ました,すぐに飛び立ったので種類は確認できませんでした.このトンボが池にいることは確かなので,こうなったら,もう一度出会えるまで待つしかありません.また池岸を歩き始めました.翅があまり黄色くないように見えたトンボを見つけました.でもよく見ると,キトンボのメスでした.メスが入っているということは産卵する可能性もあると,ちょっと胸が高鳴りましたが,日が射してしばらくすると,結局飛び去ってしまいました.

▲単独で止まっていたキトンボのメス.産卵はせずに飛び去り,見失ってしまった.

そして一時間以上歩き回って12時を過ぎたころ,やっとタイリクアカネのオスが目の前に飛んできて止まるというチャンスに出会いました.いました.キトンボ以外のトンボで,私が初めて見ることができた年越しトンボです.

▲年を越したタイリクアカネのオス.

タイリクアカネはもともと晩秋に現れるトンボではありますが,年を越すほど遅くまで生存することは,かつてはなかったと思います.それが越年するようになりました.これも温暖化で気温があまり下がらなくなったせいでしょうか? まあそれはさておき,何か感慨深いものがあります.この池はかなり内陸部で,海岸近くで繁殖するというかつての常識ともはずれています.

四国南部や九州南部では,キトンボ以外のトンボの越年も珍しくないと思いますが,兵庫県南部(淡路島を除く)で越年が見られるトンボは,キトンボ以外には聞いたことがありません.そして次に越年を見ることがあるとしたら,多分アキアカネではないかと思っています.アキアカネも妙に遅く出てくるアカトンボになっていますから…

最後に,タイリクアカネと同じところに止まるキトンボを紹介して,今日を終わります.

▲日のよく当たる斜面に止まるキトンボのオス.上のタイリクアカネとほとんど同じ場所.