▲17年前,ここで採集されたオナガサナエ(左)と羽化するオジロサナエ(右)
あけましておめでとうございます.お正月,毎日家にいるのも飽きてきたので,今日は,17年ほど前にオジロサナエがたくさん羽化していた,北区にある,武庫川水系の川に行ってきました.ここは,神戸で唯一,オナガサナエの生息が確認されていて,またグンバイトンボもたくさんいたところです.
▲今日の調査川.神戸市北区.
結論からいうと,2時間ほどの幼虫探査にもかかわらず,オナガサナエもオジロサナエもグンバイトンボも全く採集されませんでした.特にオジロサナエはあれほどいたにもかかわらず,またそれほど採集の難しい種でもないのに,全く採れなかったことが気になります.
▲コシボソヤンマ(上左),ニホンカワトンボ(上右),コヤマトンボ(下)
以前からいて,今も同じように数が見られたのは,コシボソヤンマ(10exs.)とコヤマトンボ(8exs.)でした.以前はコオニヤンマも数が多かったのですが今日採集されたのは1頭だけ.もともと数が少なかったダビドサナエは1頭だけ採集されました.ハグロトンボの幼虫は非常に小さなものが2頭網に入りました.
ホットなニュースとしては,ニホンカワトンボが4頭採集されたことです.この川ではそれらしい成虫が1頭採集されたことがありましたが,今回幼虫の生息を確認したことで,神戸市内でニホンカワトンボの生息地が一つ増えたことになります.
▲ダビドサナエ(左)とコオニヤンマ(右)
それとこの川でもう一つ意外だったのは,キイロサナエが15頭も採集されたことです.以前はいくら探してもこの川ではキイロサナエは見つからず,採れるのはヤマサナエばかりでした.今日はヤマサナエは3頭採集できています.また,キイロサナエはかなり上流にまで見つかっています.
▲キイロサナエ(左)とヤマサナエ(右)
この川も,下流部の合流地点近くになると,底の石に灰褐色の藻がついて汚い感じになっています.それでも網を入れるとアミメカゲロウ類などが非常にたくさん採れて,生物量はまだ大きいようです.また上流部では,ヒラタカゲロウ類,カワゲラ類,ナガレトビケラ類も網にたくさん入り,川は生きている感じがしました.
オジロサナエとオナガサナエとグンバイトンボという,この川を特徴づけるトンボが全く採集できなかったので,羽化時期に再調査の必要がありそうです.代わりに,キイロサナエとニホンカワトンボが定着しており,川のトンボ相が移り変わっていきつつあることを感じさせられます.上流部に生息するトンボの数が減り中流部に生息するトンボの数が増えているといったところでしょうか...
いずれにしてもこの17年,人には感知できない環境の変化がこの川に起きつつあるのかもしれません.
神戸のトンボたち/オナガサナエ
神戸のトンボたち/オジロサナエ
神戸のトンボたち/グンバイトンボ