H096. ハラビロトンボ Lyriothemis pachygastra
<特ちょう>
ハラビロトンボはトンボ型の幼虫です.腹部の横のとげや背中のとげがよく目立ち,とげとげしい感じのする幼虫です.
翅芽(しが)は左右に開かず,まっすぐ後ろにのびています.
触角(しょっかく)は糸のように細いです.体はやや固く,表面には泥(どろ)をかぶっていることが多いです.腹部の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第8,9節にあります.先がするどくよくとがっています.背中のとげ(
背棘:はいきょく)は腹部の第4−9節に長くするどいものがあります(写真2).
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写真2.第8,9節にするどい側棘があります. 4−9節に長くするどい背棘があります. |
写真3.ハラビロトンボの全形図. |
<よく似た幼虫との区別>
シオカラトンボや
オオシオカラトンボや
シオヤトンボと見まちがえることがあるかもしれませんが,長くするどい背中のとげ(
背棘)で見分けるとよいでしょう.
<さがす場所のヒント>
ハラビロトンボは湿地(しっち)の住人です.イネを作るのをやめた水田などによく集まっています.池でも,岸近くが浅くなっていて,じゅくじゅくした感じのところがあれば,そこに幼虫がいることがあります.幼虫はそういったところの泥の中にもぐって生活しています.水が干上がっても,かなり長い間生きのびるようで,乾燥(かんそう)にも強いトンボです.
終齢幼虫は春に数が多いですが,ほぼ一年中幼虫が採れます.
写真4.産卵しているメス.湿地に生えている草の間にもぐりこんで,水面に腹の先を打ちつけて,卵を産みます.