トップ写真の解説
ハラビロトンボとの出会いは大学の時でした.通学路の途中にある池の畔の水たまりで,一対のペアが産卵をしていました.そのころ神戸の市街地に住んでいたのでほとんど見たことがなく,珍しいと感じたものでした.トンボに親しく接するようになると,結構あちこちにいるトンボであることが分かってきました.湿地の生活者で,一時期水が涸れるような湿地でも平気で生活しています.写真のように湿地の草の中にもぐり込んで打水産卵します.打水した後,水は前方に飛びます.写真には,打水の水紋と前方に飛んでいる水滴が移っています.
産卵中のメス.2022.7.24.
成虫
5月にはもう成虫が現れています.ピークは6月ころのようで,個体数の多い生息地では7月でもまだかなりの数が飛んでいて,羽化も続いています.秋になるまで成虫の姿を見ることができますが,そのころは数が少なくなっています.
交尾.2019.6.13.
幼虫
ハラビロトンボの幼虫は体長約15mm程度で小さく感じられます.湿地や,ため池のなだらかな岸辺の泥の中などにもぐっています.採集に出かけると,他の幼虫と一緒に網にはいることが少なく,ハラビロトンボをねらってすくわないと採れないことが多いです.背棘が鋭く発達していていかつい感じがするのですぐにそれと分かると思います.生活史については幼虫が頻繁に採れるわけではないのでよく分かりません.
スタジオ写真.2011.6.12.