H021. ホソミイトトンボ Aciagrion migratum
<特ちょう>
ホソミイトトンボはイトトンボ型の幼虫です.とても小さい幼虫で,
尾さいをふくめた全長が16mmほどしかありません.体は,表面がすべすべしていて,やわらかい感じです.
尾さいには目立つような模様はありません.腹部の腹面を見ると,腹の節の後ろのへりのまん中に,黒い点が見られます.
<よく似た幼虫との区別>
ホソミイトトンボは,
アオモンイトトンボや
アジアイトトンボと似ています.ほとんど見分けることができないくらい似ていますが,ホソミイトトンボには,腹部の腹面に,黒い点がならぶことで区別できます.
アオモンイトトンボや
アジアイトトンボには,この黒い点はありません.さらに,ホソミイトトンボは成虫で冬をこすトンボで,秋から次の年の春までは,幼虫がいません.ですから,この時期に採れた,似た幼虫は,
アオモンイトトンボか
アジアイトトンボです.
<さがす場所のヒント>
ホソミイトトンボは池の住人です.成虫で冬をこしていますので,春早く,池にうかんだ植物の茎(くき)や葉に卵を産みます.卵はすぐにかえって,幼虫は速く成長します.6月くらいには
終齢幼虫になります.これが羽化した成虫は,夏に卵を産んで,もう一度幼虫が成長し,秋ころに
終齢幼虫になって,羽化します.したがって,幼虫が採れる期間はとても限られています.
写真4.植物がしげりはじめた春の池で,植物に産卵するホソミイトトンボのペア.