H020. ヒヌマイトトンボ Mortonagrion hirosei
<特ちょう>
ヒヌマイトトンボはイトトンボ型の幼虫です.とても小さい幼虫で,
尾さいをふくめた全長が16mmほどしかありません.体は,表面がややざらざらしていて,やわらかい感じです.
尾さいはとても細く,先がとがっています.
尾さいの先のほうには,茶色のはん点がいくつかならびます.
<よく似た幼虫との区別>
ヒヌマイトトンボは,
モートンイトトンボと似ています.ヒヌマイトトンボは,
モートンイトトンボのように頭の後ろ角が,とがっていません.また背中から見たとき,頭のはばは後ろへいくほどせまくなります(写真2上)が,
モートンイトトンボは,せまくなりません.さらに,
尾さいには,先のほうに,いくつかの茶色のはん点があります(写真3)が,
モートンイトトンボにはありません.
<さがす場所のヒント>
ヒヌマイトトンボは川の住人です.河口近くに広がるヨシ原の中で生活しています.水に少し海の塩分をふくんでいるようなところに多いです.ただ,ヒヌマイトトンボは絶滅危惧(ぜつめつきぐ)種で,どこにでもいるトンボではありません.幼虫は,ヨシ原のヨシの根もとにうかんでいる,ヨシのかれ茎(くき)などにつかまって生活しています.
終齢幼虫を採るなら,5,6月が適しています.
写真4.ヨシ原の中で生活するヒヌマイトトンボのメス.幼虫は写真に写っているような,水中のかれ茎につかまって生活している.