兵庫県の幼虫ガイド
H020. ヒヌマイトトンボ Mortonagrion hirosei
ヒヌマイトトンボ終齢幼虫
写真1.ヒヌマイトトンボ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長16mm前後.2004.6.19.
<特ちょう>
 ヒヌマイトトンボはイトトンボ型の幼虫です.とても小さい幼虫で,尾さいをふくめた全長が16mmほどしかありません.体は,表面がややざらざらしていて,やわらかい感じです.尾さいはとても細く,先がとがっています.尾さいの先のほうには,茶色のはん点がいくつかならびます.

ヒヌマイトトンボの尾さい ヒヌマイトトンボとヒヌマイトトンボの尾さい
写真2.ヒヌマイトトンボ背面図と側面図(そくめんず). 写真3.ヒヌマイトトンボとモートンイトトンボ尾さい


<よく似た幼虫との区別>
 ヒヌマイトトンボは,モートンイトトンボと似ています.ヒヌマイトトンボは,モートンイトトンボのように頭の後ろ角が,とがっていません.また背中から見たとき,頭のはばは後ろへいくほどせまくなります(写真2上)が,モートンイトトンボは,せまくなりません.さらに,尾さいには,先のほうに,いくつかの茶色のはん点があります(写真3)が,モートンイトトンボにはありません.


<さがす場所のヒント>
 ヒヌマイトトンボは川の住人です.河口近くに広がるヨシ原の中で生活しています.水に少し海の塩分をふくんでいるようなところに多いです.ただ,ヒヌマイトトンボは絶滅危惧(ぜつめつきぐ)種で,どこにでもいるトンボではありません.幼虫は,ヨシ原のヨシの根もとにうかんでいる,ヨシのかれ茎(くき)などにつかまって生活しています.終齢幼虫を採るなら,5,6月が適しています.

ヒヌマイトトンボの産卵場所.
写真4.ヨシ原の中で生活するヒヌマイトトンボのメス.幼虫は写真に写っているような,水中のかれ茎につかまって生活している.