■見分けのチェックポイント
羽化殻全長23mm前後.羽化殻の腹部第10節の長さは基部の幅の1.2倍程度で,幅は基部から先端にかけて少し細まる傾向がある.側棘は腹部第6節から第9節または第7節から第9節にまで存在する.背棘は腹部第7節から第9節のあるとされているが(杉村ら,1999),はっきりと認めにくい小さなものである.下唇側片の内葉片先端は尖らない.下唇前基節はやや逆台形気味であるが,むしろ長方形に近い.触角第3節は幅の狭いへら状である.前肢・中肢脛節先端の突起は小さい.
■分布と類似種
岡山県,大阪府を除く本州,北海道に分布する.ただし,本州南西部では山陰,北陸,紀伊半島南部,中部地方の山地に分布が偏っている.分布域的には他のコサナエ属と住み分けているようであるが,兵庫県の一部にタベサナエとの混生地が存在する(東,2010).ただ,本州南西部では,常に混生を意識して同定する方がよい.
■生態
周りに樹林が隣接する池沼に生息する.岸近くの落ち葉や泥が堆積している中にもぐって生活している.兵庫県北部では4月の下旬には羽化が始まっている.