■見分けのチェックポイント
羽化殻全長52mm前後.可動鉤上には短い刺毛が生えている.側棘は第6−9腹節にあり,第5腹節のものはないか痕跡的である.背棘はない.♀の原産卵管先端はちょうど第9腹節後縁と同じ位置にくる.♂の肛上片上の下付属器原器先端は尾毛先端より基部よりの位置にくる.尾毛先端は肛上片先端の約1/2,肛側片先端の1/2より基部よりの位置にくる.肛上片は肛側片より少し短く,先端は背面から見て大きく二叉になって両端は鋭く尖り.また中央に小さな突起がある(1).肛側片の先端は内側に曲がる.肛錐が細長く,裏面から見たとき最大長は最大幅の1.9倍くらいある.
■分布と類似種
北海道,本州,九州に分布する.ルリボシヤンマは肛錐の最大長が最大幅の1.6倍前後しかない.イイジマルリボシヤンマは尾毛の先端位置が肛側片の先端位置の1/2を大幅に越える.マダラヤンマは全長が10mmほど小さい.その他のヤンマ科各種は,下唇側片内葉片の幅が広い(カトリヤンマ属・ヤブヤンマ属),可動鉤に長刺毛がある(トビイロヤンマ属),中央欠刻の両側に1対の突起がある(ミルンヤンマ属),肛上片の先端が二叉でない(アオヤンマ属),複眼の最前縁点が下唇前基節の最大幅より内側に来る(ギンヤンマ属)などが異なる.
■生態
西南日本の暖かい地方では,主に山間のヒルムシロなどの生えた池沼に生息している.時には平地のため池にも幼虫が見つかることがある.