■見分けのチェックポイント
羽化殻全長40mm前後.側棘は第7−9腹節にあり,第6腹節のものは時に痕跡的に存在する.背棘はない.♀の原産卵管先端は第9腹節後縁にわずかにとどかない位置にくる.♂の肛上片上の下付属器原器先端は肛上片の約1/2,尾毛先端よりかなり基部よりの位置にくる.尾毛先端は肛上片先端より少し基部よりの位置に来る.また太いので背面から肛錐を見るとふくらんだように見える.肛上片は肛側片より少し短く,先端は背面から見て二叉になっており,中央部に小さな突起かある(1).肛側片の先端はわずかに内側に曲がる.肛錐を裏面から見たとき最大長は最大幅の1.5倍前後である.
■分布と類似種
北海道の道東・道北に分布する.オオルリボシヤンマ,ルリボシヤンマ,マダラヤンマに比べて尾毛の肛側片に対する相対長が長いので区別は容易である.その他のヤンマ科各種は,下唇側片内葉片の幅が広い(カトリヤンマ属・ヤブヤンマ属),可動鉤に長刺毛がある(トビイロヤンマ属),中央欠刻の両側に1対の突起がある(ミルンヤンマ属),肛上片の先端が二叉でない(アオヤンマ属),複眼の最前縁点が下唇前基節の最大幅より内側に来る(ギンヤンマ属)などが異なる.
■生態
広瀬・伊藤(1993)によると,平地から低山地の,木がまばらに生えた湿原の池塘などに生息するという.釧路湿原では3種が混生しており,オオルリボシヤンマ,ルリボシヤンマ,イイジマルリボシヤンマとしだいに小規模な水域を選好するという(杉村ら,1999).