トップ写真の解説
ナツアカネはアキアカネより水田が似合うアカトンボだと,私は感じています.それは,アキアカネはだいたい稲刈り後に産卵に来るのに対し,ナツアカネは稲刈り前に産卵に来るからです.たわわに実った稲穂を背景に,連結打空産卵する真っ赤なアカトンボ.秋津洲にふさわしい風景だと思います.
稲刈り前の水田で連結打空産卵するペア.2009.9.26.
成虫
初夏に羽化します.羽化した個体は山の中腹に移動し,林縁などで過ごしているのではないかと思います.秋になると水田にやってきて産卵します.兵庫県南部ではだいたい9月中旬に産卵が始まります.まだ稲刈りがすんでいない水田で,稲穂の上から卵をばらまきます.
単独打空産卵.2011.9.11.
幼虫
幼虫は水田や休耕田で採れることが多いです.最近は薬剤使用の関係で,たくさん産卵している水田でも,まったく幼虫がいないところが多くなっています.山間の,薬剤を使っていない水田では多数が発生しています.腹部第8節の側棘が第9節後縁を越え,下唇側片に斑点がないのが特徴です.マダラナニワトンボとよく似ていますが,マダラナニワトンボよりひとまわり大きいです.卵で越冬し,春に孵化し,幼虫は短時間で成長して,羽化に至ります.
スタジオ写真.2019.7.2.