トンボノート
No.716. ナツアカネを見に行った,ついでに… 2019.9.19.

今日は,ナツアカネが稲穂の上で産卵する姿が見たくて,去年ナツアカネがそこそこ集まっていた谷の水田へ行ってみました.ここは稲刈りが早くて,去年9月の下旬に行ったときには,ナツアカネはそこそこいたものの,稲がきれいに刈り取られてなくなっていました.そこで今年は少し早い目に行くことにしたわけです.しかし現地に着きますと,もう稲刈りが終わっていました.早いです.一方ナツアカネの方はまだちらほら,ここは時期的にマッチングせずダメですね.

▲電柵にの電線に止まるナツアカネのオス.
▲草に止まるナツアカネのメス.

ということで,今日の目的は果たせずに終了.といっても,まだ午前中ですし,空はよく晴れています.近くを歩いてみることにしました.他のアカトンボが活動しているかもしれません.

▲ノシメトンボのオス.最近はあまりまとまった姿を見ない.

最初に道の横に止まっていたのは,ノシメトンボでした.ノシメトンボは水が落とされたため池の岸に広がる草原に産卵します.ここにはそんな環境はないので,水田での産卵をねらっているのかもしれません.



▲ヒメアカネのオスとメス.

次に出会ったのは,ヒメアカネのオスとメスです.まだちょっと完全成熟とまでは行かないような若さが感じられる個体でした.次に小さなため池があったのでのぞいてみますと,ネキトンボが活動していました.そしてこの ため池を終点として折り返し,帰り道でぽつんと止まっているマユタテアカネを見ました.

▲ネキトンボのオス.3頭ほど活動していた.
▲マユタテアカネのオス.

アカトンボたちはいるにはいましたが,ネキトンボをのぞいて,繁殖活動をする気配が見られません.どうも面白くないので,先日あまり出会えなかったオオルリボシヤンマの産卵を見に行くことにしました.オオルリボシヤンマの産卵は午後です.ここからの移動に1時間以上かかるので,ちょうど昼過ぎに着きそうです.

オオルリボシヤンマの観察地に着いたのが12:00ちょうどくらいでした.オスが2頭飛んでいましたが,メスの姿がありません.今年は数が少ない年なのかと思いましたが,昼食をとって時間をおいてみることにしました.12:40,池に戻りますと,2頭のメスが産卵にやって来ていました.そばを歩くと,パッと飛び立ち,ホバリングします.

▲産卵しているそばを歩くと,ふわりと飛び上がり,ホバリングする.

しばらく固まったようにじっとしていますと,高度を下げて,ピタッと産卵基質の枯れ木などに止まります.

▲安心したのか,産卵を再開したオオルリボシヤンマのメス.
▲池の岸を固めている杭に産卵している.

そうこうしていると,オスがメスを追いながら池に入ってきました.メスは向かい合って同調するようにホバリングして,にらみ合っています.オスは一生懸命メスにアプローチしようとしているのでしょう.しかしメスは頑としてそれに応えようとはしません.こういう場合はたいがいオスが諦めます.しばらくすると,オスはメスから離れて,また池の中程をパトロールするように飛び始めました.

▲左のオスが右のメスを追って目の前に入ってきた.しかしメスはにらみ合いを続ける.

先ほどから産卵しているメスは,私の動きに反応して,ときどき飛び上がってはホバリングを繰り返していますが,逃げる気配はありません.オオルリボシヤンマは,今年はビデオを撮ることにしていますので,写真はそこそこにして,ビデオカメラを回しました.





▲あちこち移動しながら産卵を続けるオオルリボシヤンマのメス.

ビデオを撮り続けていますと,やがてこのメスは高く浮き上がるように飛んだ後,近くの樹木の幹に,ムカシヤンマのように止まりました.産卵が終わりになったのでしょうか.

▲ムカシヤンマのように,木の幹にペタッと止まるオオルリボシヤンマのメス.

しばらく待っていると,再び池に降りてきて,産卵を再開しました.結局このメスは14:00ころまで産卵を続け,やがて飛び去っていきました.

オオルリボシヤンマを観察しているときに,私のまわりで動きまわっているトンボがいました.オオアオイトトンボです.ここは結構標高があるせいか,時期的に少し早い感じがしますが,タンデムもいくつか飛んでいます.ひょっとしたら産卵するかもしれないと思い,オオルリボシヤンマの記録が終わった後,ここぞという木の枝を見上げてみました.いました.タンデムで止まっているペアが.



▲イロハモミジの枝に止まる,オオアオイトトンボのタンデムペア.

14:00過ぎというと,過去の観察からは,まだ産卵せずにこのまま連結状態でじっとしているのではないかと思っていました.ところが,すぐにメスは腹部を曲げ,産卵をし始めました.9月19日のオオアオイトトンボの産卵は,私の観察例としてはかなり早いように思えます. 同じ場所で,去年は10月7日に産卵を観察に来ています.



▲産卵を始めたオオアオイトトンボのペア.時刻は14:33.

ということで,アカトンボは活動せず止まっていただけでしたが,オオルリボシヤンマやオオアオイトトンボが繁殖活動を行っていました.終わりよければすべてよし,ということで,今日の観察を終えました.