トップ写真の解説
コノシメトンボは色々な場所で見ることができるトンボです.タイリクアカネのように海岸近くの人工的な水辺やプールから,多くのアカトンボたちが集う自然豊かな水辺まで,生息範囲は広いです.この写真は後者のような環境で産卵するカップルです.水面近くでチョンチョンとあまり移動せずに打水するので,素人にとって写真も撮りやすいです.
産卵するカップル.2009.9.27.
成虫
多くのアカトンボと同じように,6月ころに羽化します.羽化した成虫は多少分散をするようで,思いもしないような山中で出会うことがあります.秋に成熟すると産卵に池にやってきますが,昨日雨が降ってできたような水たまりにも産卵します.植生の有無には無頓着なようで,プールでも幼虫がよくみつかるのはそのせいでしょうか.連結打水産卵をします.打水の後,あまり急上昇せずチョンチョンと連続打水します.同じように連結打水産卵をするオオキトンボは,打水の後急上昇して水面から離れようとします.一度ですが,魚がジャンプして産卵中のオオキトンボをねらったのを見たことがあります.打水の後急上昇するのはそういう攻撃に対する防衛的行動なのかもしれません.コノシメトンボにそれが見られないということは,元来このトンボは魚類などの生物相の貧弱な一時的な水たまりなどに産卵し,魚に襲われることが少ないからかも知れません.同じ打水でもよく観察すると個性があっておもしろいものです.
連結打水産卵をしているペア.2010.9.26.
幼虫
コノシメトンボの幼虫は,浅い池の泥の上にうずくまって生活しているようです.プールでよくみつかりますが,タイリクアカネと混同されている例が結構あるのではないかと思っています.全体的な形態,側棘・背棘の形がよく似ています.下唇側片に褐色斑点がないのがコノシメトンボですが,タイリクアカネでもその斑点が淡い個体があり注意が必要です.慣れてくると,体の斑紋で見当がつくようになります.プールの幼虫を同定する際には十分注意していただきたいと思います.卵で越冬し春に幼虫が孵化します.幼虫は急速に成長し,6月ころに羽化します.
スタジオ写真.2008.6.7.