H078.コノシメトンボ Sympetrum baccha matutinum
コノシメトンボは,水が透明で見通しのよい広い開水面を,縦横無尽に移動して打水産卵します.そのとき,オスは水面からの高さをほとんど変えることなく,頭を中心にして回転するようにメスの体を下方に下げ,その腹端を水面に当てるような動きをして前進します.一方,岸近くの,草が茂った水際にもやってきて打水産卵をします.このときは,マユタテアカネのようにオス・メスともに水平に高く上昇し,岸から逃げるような動きをします.これは草地に隠れているカエルを警戒しているためかも知れません.それが証拠に,岸近くでも,コンクリート護岸のように見通しのよい場所では,打水後水面からそれほど高く逃げません.コノシメトンボは,オスが捕食者の状況を見極めながら,打水行動をリードしているのではないでしょうか.