トップ写真の解説
兵庫県下のベニイトトンボは本当に数が減ってしまいました.現在確実な産地はほんの少しです.探せばまだ見つかる可能性はありますが,その確率は低いものと思われます.この生息地は,かなり安定して毎年のようにベニイトトンボが発生していましたが,ある年ブルーギルがたくさん発生して,ベニイトトンボが産卵している沈水植物の中にも潜り込んでいました.ブルーギルの生息する池ではイトトンボのなかまが減少することを経験的に感じており,ここのベニイトトンボも危ないのではないかと思っていました.そんな矢先,池の掃除で幼虫の生息していたオオフサモの群落が取り除かれ,沈水植物のない池へと変貌しました.以後,この場所でいったんベニイトトンボが姿を消しましたが,近年また復活しました.
連結植物組織内産卵.2010.7.30.
成虫
兵庫県では6月の上旬に羽化します.未熟なうちは池周辺の草地に潜り込んで生活しています.成熟すると池面に戻り繁殖活動を行います.その後9月ころまで見ることができますが,数が多いのは6,7月です.九州の方に行くと,もっと早く5月には出現して11月に入るまで見ることができるといわれています.産卵は水面の植物組織内に行われます.
交尾.2010.7.30.
幼虫
キイトトンボとよく似た幼虫です.しかしひとまわり小さく体色は明るい色をしていることが多いようです.羽化が近くなると,写真でも分かるように,背面がわずかに赤く変色することがああります.幼虫で越冬し,兵庫県下では一年一化の生活史を送っています.
スタジオ写真.2010.7.30.