トンボノート
No.920. グンバイトンボの確認に.2023.6.17.

今年はアオハダトンボを見に川へ出かけていません.もう時機は逸しているかもしれませんが,植生が剥ぎ取られる工事があった例の場所へアオハダトンボとグンバイトンボを確認に行くことにしました.アオハダトンボはやはり遅かったようで,全く姿が見えず,もうハグロトンボが次々と羽化をしていました.ここは出現が早いんですね.


▲羽化していたハグロトンボ.

グンバイトンボの方もなかなか姿が見えず,諦めかけていたころにやっとオスがツイツイと飛ぶ姿を見ることができました.グンバイトンボのオスがメスを探しながら飛ぶときには,写真のように脛節の白い膨らみを目立たせるようにして飛びます.これはきっと何かの信号刺激になっているのだと思います.グンバイトンボの飛ぶ姿はやはり一度は写真に撮る必要がありますね.


▲脛節の軍配状の膨らみを誇示しながら飛ぶグンバイトンボのオスたち.

そうこうしていると,タンデムが飛びました.タンデムになるともはや軍配状の脛節は眼だ立たせる必要がないのでしょう,普通に脚を閉じて飛んでいます.


▲タンデムで飛ぶときは軍配状の脛節は目立たない.もちろん止まると見えるが.

このペアは産卵する気満々ですね.じっと動きを見守り産卵を待つことにしました.やがて産卵を始めましたが,奥まった場所に入り込んで産卵するために,なかなか写真には撮りづらいところです.そして個体数が少ないときは産卵するトンボも敏感に私の動きに反応するようで,すぐに飛び立ってしまいます.


▲産卵を始めても,私がちょっと変な動きをすると産卵を止めて飛び立つ.

まあ,こうなれば根気の勝負です.グンバイトンボを目的に来ていますので,こちらも引き下がるわけにはいきません.じっと待っていますと,もう1ペアやってきました.


▲もう1ペアがタンデムでやって来た.

こちらのペアの方が許容度が高いかもしれないと思い,こちらの後を追いました.しかし似たようなものでした.


▲あちこち移動しながら産卵を続ける.単独オスがそばを飛ぶと脚を広げる.


▲撮っているうちにどちらがどちらか分からなくなった.

ほんの10mほどの植生のところで,合計7,8頭が活動していましたが,それだけでした.川を広く歩いても,ほかの場所では見つかりません.やはり,この川の植生剥ぎ取り工事が,植物内生活者をかなり痛めつけているようです...と言いたいところなのですが,ハグロトンボはほとんど減少が気にならないくらい羽化していました.アオハダトンボやグンバイトンボのようなレッドリストに載るような種は,やはりもっと別の要因が関係しているのかもしれません.

さて,その他のトンボについても,いつも見られる春の種であるタベサナエ,ヤマサナエ,ホンサナエなどは見られませんでした.もう川は夏に移り変わっているようで,アオサナエが複数見られ,コオニヤンマが川に戻ってきてハグロトンボをむしゃむしゃ食べていましたし,オナガサナエは羽化殻がたくさん付いていて,オジロサナエも処女飛行にあちこちで飛び立っていました.やはり5月下旬に来ないと春のトンボは見られないようです.ちょっと今年は遅すぎました.


▲アオサナエは3頭見た.


▲コオニヤンマは飛び立ったハグロトンボをむしゃむしゃ食べている.


▲オジロサナエはあちこちで処女飛行に飛び立つのを見た.


▲もちろんセスジイトトンボも健在!.


▲クロイトトンボはたくさんいた.

ということで,午後に予定が入っている今日はこれでおしまいです.