昨日はオグマサナエだけ産卵行動を観察することができませんでした.そこで,今日もまた晴れたので(今年のゴールデンウィークは連日晴れ!),ちょっと足を伸ばして県境を越え,オグマサナエの産卵を「意地になって」見に行くことにしました.
現地に着いたのが9:20ごろ.ちょっと遅かったような気がしました.でもまだ朝起きられないのです.池は静まりかえった状態で,5,6頭のオグマサナエのオスが飛んだり止まったりしているだけでした.去年はもっと多かったのですが,今年は少ない年なのかもしれません.個体数変動というものはあるものですから...
私は岸辺の状況が産卵に適していると思われる日陰の場所で待っているので,日向の喧噪は感じられず,本当にトンボに動きがないような,ちょっといやな雰囲気でした.それでも日が高くなって暖かい空気が流れ,私の立っているところにも木漏れ日が差すようになってくると,オスがふわっと訪れてすぐに去って行くというような行動が見られるようになってきました.
そんな中に1頭だけタベサナエが混じっていました.ここはほとんどオグマサナエばかりですが,昨年もメスが1頭だけ産卵にやってきました.少数混じっているようです.
時間だけがどんどん過ぎていきますが,全く産卵に来る気配がありません.快晴の状態でもこんな感じの日がときどきあるんです.時刻は12時になろうとしています.やはり来るのが遅かったのでしょうか.諦めようかという気持ちがちょっとよぎりました.しかし,帰っても別にやることはないし,足がまだだるいので歩きたくもないし,結局ここでオスたちと待ちぼうけ覚悟を決めました.
12:01,メスが入ってきました.私のいつもの観察地では,こんな時刻にオグマサナエの産卵に出会ったことはありません.さっそくカメラを構えて接近,なのですが,ここのオグマサナエはオスもメスも非常に敏感に動くものに反応し,すぐに逃げてしまうことを思い出しました.まずは記録することを重視して,少し遠くから撮影しました.
オグマサナエの産卵は,フタスジサナエやタベサナエに比べると,動きが素早いように思えます.ときどきはじっとホバリングしますが,たいがい体をひねっては卵をぶちまけるといった,なかなか豪快な産卵をしています.ただ写真に撮るのは難しくなります.
とにかくよく動くので,ほとんどがアウトフォーカスになってしまいました.日陰で暗いこともありますし...でもこれで元気が出ました.2時間半以上待った甲斐がありました.でも経験的に産卵時刻は集中するので,1頭のメスが産卵したくなったということは,産卵意欲のある他のメスも同じように反応するはずです.今度は,必ずまだ来るという確信に燃えて,次を待ちました.
やってきました,12:53です.ここは去年も14:00ごろに産卵に来ましたから,やはり所変われば品変わるですね.まずは産卵の動き,4枚連続写真から.
昨日タベサナエの卵が放出される瞬間をとらえた写真が撮れましたが,今日もまた,オグマサナエの卵が飛び散っているところが撮れました.これはあえて少し遠くから撮影したことがよかったようです.一粒ずつバラバラに飛び散っているようすがはっきりと写っています.しかも背景が暗いのではっきりと分かります.また,それまで腹部第10節を下の方に折り曲げるようにして飛んでいましたが,放卵の瞬間は,腹部第10節(と尾毛)がピンとまっすぐ伸びているのが分かります.
逃げるといやなので遠くから撮っていましたが,大分撮れたので,どんどん近づくことにしました.すると,オグマサナエのメスも,こっちにやってきました.波長が合ったみたいです.
写真に撮って分かりますが,本当にじっとしていなくて,体をひねりまくっていることが分かります.
まあ,これでなんとかコサナエ属3種の産卵活動を観察することができました.オグマサナエの産卵行動は,やはりフラスジサナエやタベサナエとは少し違う感じがします.ダイナミックで力強い産卵です.ということで,今日は終わりです.めでたしめでたし.