トンボノート
No.783. 今日もロケハン.2021.5.28.

今日は天気予報では晴れになっていましたが,空模様はもう一つで,雲が多い感じでした.今年はまだヤマサナエやサラサヤンマを見ていないので,それらのようすを下見しに行くことにしました.

最初の場所は,晴れることを期待して,曇っている間の時間つぶしに寄った,とある自然系公園です.昨年オグマサナエの個体数が多かった場所で,今年はどうかと思い見てみることにしました.結果的にはオグマサナエには出会えず,フタスジサナエばかりでした.もうオグマサナエは終わりを迎えていたのでしょうか.

▲フタスジサナエのオス.池にかかる木道の止まって暖まっているのか?



▲フタスジサナエはメスが多かった.体色も黄色味がなくなり,老熟の域だ.

フタスジサナエは薄日が射す草地を飛んでいました.2,3頭見られました.メスの体色も薄緑色をしていて,かなり日齢が経った個体のようでした.フタスジサナエでこれですから,オグマサナエは終わったのかも知れません.あとこの公園では,シオヤトンボの老熟個体,ヤマサナエの新鮮個体が見られました.季節が進みつつあるようです.



▲シオヤトンボのオスとメス.気温が低いせいか,みんな地面に止まっている.

▲まだ複眼が黒く緑味を帯びていないヤマサナエの未熟なメス.

どうもトンボの動きが不活発です.気温は20℃を超えているようですけど,日が射さず風が涼しいのでトンボたちは動かないのでしょう.この公園で小一時間過ごしたあと,サラサヤンマを見に行くことにしました.

サラサヤンマの湿地へ行く途中,また道にヤマサナエが止まっていました.本当に今日は判でついたみたいにみんな白っぽい地面に止まっています.天候と気温の関係なのでしょうか.面白いものです.ここのヤマサナエも,まだ未熟という感じです.オスの方は複眼が緑色にすきとおってきています.しかしまだ淡色部は鮮やかな黄色をしていて,薄緑色になっていません.



▲地面に止まるヤマサナエのメスとオス.ともに若い感じである.

そして目的のサラサヤンマの湿地に着きました.しかし環境はあまりよろしくありません.昨日の雨のせいで,湿地が水浸しになっていました.サラサヤンマは乾いた湿地にやって来るので,この環境ではダメです.案の定,オスはまったく飛んでいませんでしたし,やっと入ってきた1頭も,すぐに出て行ってしまいました.少し歩き回って,水のないところへ行ってみると,1頭だけオスが縄張りを形成して飛んでいました.

▲足下でホバリングするサラサヤンマのオスの頭部と胸部.

▲縄張り飛翔するサラサヤンマのオス

▲細いイグサのような草に止まろうとするオス.背景は縄張りの凹地.

▲間もなく止まるというところで,足を伸ばして草をつかもうとしている.

▲い草は軟らかすぎて止まることができず,結局こちらの枯れ枝に止まった.

▲湿地の中に止まってメスを待つサラサヤンマのオス.

1時間ほど待っていましたが,産卵メスは夕方が中心なので,まだ13:00ではどうしようもありません.待っている間,アサヒナカワトンボが産卵をしていました.しかしなかなか敏感で近づくことができませんでした.メスはすぐに飛び上がって様子見状態になります.オスもつられて飛び上がり,少し離れて止まりました.こうなると我慢比べ.どうせこちらはサラサヤンマのメスを待っているついでがあるので,気長に待っていると,産卵を再開しました.

▲私の気配で飛び上がったメスと,いっしょに上がったオス.

▲金緑色の体色が水の反射に溶け込んで,意外と目につきにくい.

▲産卵するアサヒナカワトンボ.

さて,このまま夕方まで産卵を待つという手もありますが,空はどんよりしていて,湿地の状態もサラサヤンマ向きでないし,オスも1頭だけしかいない,あまり良いコンディションではないので,今日のロケハンはこのあたりにすることにしました.

帰り道で,オグマサナエのメスに出会いました.もう老熟の極みという感じで,こんなに翅が茶色くけぶったオグマサナエのメスはあまり見たことがありません.象牙色の淡色部に草色の複眼,そして茶色の翅,枯れた色彩が渋く新鮮な個体とはまた違った味わいがあります.オオキトンボもそうですが,老熟したときにしか見られない独特の色彩は,私のお気に入りの一つでもあります.

▲老熟したオグマサナエのメス.やはりもう終わりの時期が来ていたようだ.

この時期は本当は川に行って,アオハダトンボの出始めやアオサナエなどを見に行くのが一番いいのですが,今日はどこの川も茶色の水が流れていて,水位も高く,それは叶いませんでした.梅雨入りの早さが恨めしいです.