トンボノート
No.782. 動きまわった一日 2021.5.23.

ブログのソフトの動きがおかしく,長い文を入力すると公開できないというメッセージが出てしまいます.解決策を色々と検索した結果,エディタの変更で解決しました.少しレイアウトが変わったのはそういう理由のためです.また一時的に二部に分けて公開していましたが,これは解消しましたので,書き換えて再投稿しました.

さて 今日は予報通り朝から快晴.昨日のロケハンの通り,トンボたちの姿を見に行くことにしました.特に昨日が雨でほとんどロケハンにならなかった源流域を中心に据えました.もし源流域でトンボに出会えなければ,そこで討ち死にする覚悟です.ねらいはクロサナエとヒメクロサナエ,ムカシトンボはもう遅いかも知れません.なにしろ,昨日を含めると三日間天候が悪く,メスたちは産卵したくてうずうずしているはずです. 8:30ぐらいに現地に入りました.まだ涼しい感じで,トンボの気配はまったくありません.しばらく待っていると,9:20,クロサナエのメスが,サァーッと入り,産卵を始めました.幸先のよいスタートです.



▲9:20,クロサナエが産卵に入った.まだオスは姿を見ていない.

続いて9:38,今度はヒメクロサナエが,クロサナエの産卵場所と同じ所に入り,産卵を始めました.このメスは相当長い時間(といっても4分ほど)産卵していたので,写真を山のように撮ってしまいました.







▲9:38,あちこち移動しながら産卵するヒメクロサナエ.3枚目は産下された卵.

次は9:54,ヒメクロサナエのメスが,私の座っている足下に入りました.こういうのは困ります.上から見下ろすように撮ってしまうのですね.メスは逆に上を向いてこちらを見ています.目が合っている感触がありました.





▲9:54のヒメクロサナエ.足下に入って見下ろすようにしか撮影できなかった.

次は10:04,クロサナエです.木漏れ日が射しているところで産卵しましたので,こういう所はコントラストが強くなって,写真には不向きです.それと近づくにはちょっと足場が悪く,あまりいい感じでは撮れませんでした.







▲10:04のクロサナエ.産卵が終わって,静止して腹部の屈伸運動をしている.

続いて10:10,再びヒメクロサナエが産卵にやって来ました.ただこの個体,9:54の産卵個体と同じかも知れません.カメラを向けてストロボを焚いたりすると,うっとうしく感じるのか,いったん飛び去ってまた産卵に来ることがあるようです.これはすぐに飛び去りました.多分短時間で産卵を終えたのはそういうことだったからかも知れません.

▲10:10のヒメクロサナエ.すぐに産卵を終えて飛び去った.

今日はなかなかオスが下りてこないのです.今までにヒメクロサナエが2回短時間下りてきただけで,それも離れたところでお尻を向けていましたので,写真にはなりません.10:48にやっとクロサナエのオスが離れたところに下りたのを確認しました.

▲やっと姿を見ることができたクロサナエのオス.

10:10のヒメクロサナエを最後に,産卵に来るメスが少し途切れました.ムカシトンボはオスらしいのが1回飛んだだけです.もう個体数が減っているのでしょう.今日は期待できそうにありません.そこそこの数の産卵を見ることができたので,今日の予定通り,昨日のロケハンのあとをたどることにしました.ここで昼食をとることにしました.11:00,おにぎりの包装を解いた途端でした.クロサナエが産卵に入りました.



▲11:02のクロサナエのメス.やはり最後に止まってから樹上へ逃げていった.

これで踏ん切りがつきました.次はコサナエを見に行くことにしました.高い山の上にある池です.標高600mくらいはあるのではないでしょうか.ここは,以前観察に来たときには,5月のゴールデンウィークのころに羽化をしていました.平地の池では繁殖活動がもっとも盛んな頃です.コサナエはいました.メスをつかんで持っていくオスの姿も見ましたが,写真にはなりませんでした.





▲池の畔に止まっているコサナエのオスたち.

コサナエの池にはアジアイトトンボが結構たくさん飛んでいました.最近はアジアイトトンボが群れているのを見ることも少なくなりました.

▲コサナエの池で,コサナエに混じって飛んでいたアジアイトトンボ.交尾.

コサナエのあとはヒラサナエです.ヒラサナエは昨日も姿を見ることができましたので,ちょっとだけ立ち寄りました.今日はどういうわけかオスばかりしかいませんでした.珍しく腹部挙上姿勢をとっているのがいました.



▲ヒラサナエのオスたち.

さて,次は平地に下りるのですが,コサナエが意外と簡単に見られ,時間があったので,もう一度ヒメクロサナエのオスの姿を撮りに源流に戻ることにしました.すると不思議なもので,先ほどほとんど姿を見せなかったオスが,ほんの10分もしないうちに2,3頭下りてきました.だいぶん気温が高くなったせいかもしれません.





▲ヒメクロサナエのオスたち.

さて,平地へ移動し,小川をのぞいてみました.ヤマサナエがいないかということですが,今日はヤマサナエの姿を見ることができませんでした.いや,正確に言うと,メスが足下を周回しただけでした.時間的には午後になっています.ニホンカワトンボが産卵をしていました.朽木ではなくコカナダモに産卵しています.ちょっと珍しい感じがしました.



▲ニホンカワトンボ.朽木に産卵することが多いが生きた植物組織内にも産卵するようだ.

池をのぞいてみると,嬉しいことに,イトトンボが活動していました.モートンイトトンボ,オオイトトンボ,クロイトトンボ,それにホソミオツネントンボがまだ産卵していました.彼らは結構繁殖活動期間が長いですね.この池は,以前はオオイトトンボがものすごい数いましたが,最近は減って,クロイトトンボが増加し始めているように感じます.



▲モートンイトトンボのオスとメス.
▲オオイトトンボのオス.
▲クロイトトンボの交尾.
▲ホソミオツネントンボの産卵.3組産卵していた.

不均翅類としては,ヨツボシトンボ,コサナエの産卵,などを観察しました.コサナエの産卵を見たことで,今年はコサナエ属4種すべての産卵を観察・記録することができました.また,死亡直後と思われるクロスジギンヤンマのメスが浮かんでいました.鳥にでも襲われたのでしょうか.

▲ヨツボシトンボのオス.
▲クロスジギンヤンマのメスの亡骸.複眼の色から見て,死亡直後であろう.




▲コサナエの産卵.草の中にもぐりこんで産卵するので,写真は撮りにくかった.

あと,帰りに,道ばたでムカシヤンマの姿を見ることができました.地面に止まっているのを思い切りローアングルで撮ってみました.飛び立ったあと,珍しく棒の先に止まりました.ムカシヤンマがこのような止まり方をするのはあまり見かけません.



▲ムカシヤンマのオス.

時刻は14:50くらいになりました.この後サラサヤンマを見に行きましたが,まったく飛ばずでした.朝からあちこち移動し,また昨日今日と結構動きまわったのでいささか疲れました.今日はこの辺にすることにしました.でも,やはり曇天続きのあとの快晴.トンボたちも,欲求不満を晴らすかのように,活発に活動をしていました.