トンボノート
No.748. タイワンウチワヤンマを見に行った.2020.8.17

夏のトンボ観察第三弾は,タイワンウチワヤンマです.すっかり兵庫のトンボの仲間入りをしてしまいました.平地の池に行けばたいがい見られますが,あえて淡路島へ行ってきました.タイワンウチワヤンマの数が断然多いし,産卵にやって来るポイントを知っているためです.それにそこは木陰で待つことができるのです.明石海峡大橋を渡って,現地に着いたのは8:15でした.タイワンウチワヤンマたちはもうたくさん池のまわりに集結し,あちこちで追いかけ合いをしています.





▲池の畔の植物に止まるタイワンウチワヤンマのオスたち.

3−4mごとに止まっている状態ですので,1頭が飛び立つとまわりの2,3頭がそれを見て飛び立ち,もう激しい追いかけ合いを展開しています.あまりに速いので,ほとんど写真にはなりませんでした.端っこの方にお愛想で写っているのが一枚あったので,載せておきます.あとは少しゆっくりと飛んでいるオスを記録しておきました.

▲オスを追いかけるオス.
▲何か動くものを見ると飛び立って周囲をパトロールしてまた止まる.

メスの方は9:30から11:00の間に3回入ってきました.しかし,産卵動作を始めるとすぐオスに見つかって交尾態になります.ふつうは,交尾態になっても十数秒で解き,オスの縄張りで産卵を始めるというのが過去の観察でした.しかし今日は,3回とも,オスがメスをかむと,交尾態で姿を消してしまいました.唯一2回目のメスは,オスに見つかるまでに少し時間があって,植物に止まったりもしましたので,記録が撮れました.

▲産卵に入ってきたタイワンウチワヤンマのメス.いったん静止した.
▲その後飛び立ってしばらくホバリングした.産卵するかと思ったがオスに捕まってしまった.

上のメスはオスに見つかるまでに産卵動作をしましたが,シオカラトンボが追いかけ回して邪魔するのです.いや,タイワンウチワヤンマの産卵は,なかなか落ち着いて見ることが難しいです.

タイワンウチワヤンマ以外には,オオヤマトンボの産卵,シオカラトンボの産卵,ギンヤンマの産卵などを見ました.オオヤマトンボはピンボケでした.



▲シオカラトンボの警護付き産卵.
▲ギンヤンマの産卵.

11:00を過ぎると気温がどんどん上昇し,太陽が真上に近くなり木陰もなくなりました.今日も気温は35度超えの予報.熱中症になってはつまらないので,ここまでとしました.帰り際に少し歩いてトンボたちを見てみましたら,彼らも暑いのでしょう,タイワンウチワヤンマは腹部をまっすぐ上に上げての腹部挙上姿勢をしていましたし,シオカラトンボは腹部下垂で暑さをしのいでいました.オスたちはみんな大変な思いで頑張っていますね.

▲腹部を垂直に上に上げて,腹部挙上姿勢をとるタイワンウチワヤンマのオス.
▲タイワンウチワヤンマの逆で腹部下垂姿勢で暑さをしのぐシオカラトンボオス.

しかし本当にシオカラトンボは暑さに強いですね.聞くところによると,シオカラトンボの青白い粉は紫外線をカットする働きがあるそうで,この粉の成分を使った紫外線カットの化粧品が開発されているそうです.

最後,淡路島なので,ベニトンボが進入していないかちょっと気にとめてみましたが,姿はありませんでした.酷暑の日は半日が限界です.最後にこの日に撮ったビデオを紹介しましょう.限定公開です.YouTubeで見るには下記のリンクをクリックしてください.