コサナエ属のトンボたちも最盛期に入っています.なかなか巡り会えないオグマサナエの産卵の探索に,今日も出かけました.今日は今年はまだ行っていない池を調べることにしました.以前にはよく出かけていた小さな池です.池のすぐ横には小さな水田があって,その畦道を通って池に入るのですが,水田が放棄され,池のまわりに樹木も生長し,水田跡には笹がはびこってアプローチできない状態でした.時の流れは環境を変えてしまうようです.仕方なく反対側へまわって池に入りました.
池に着いたのは,9:43.堰堤の上を歩きますと,池の方からコサナエ属のトンボが飛び出してきました.写真を撮ると,タベサナエのメスでした.ひょっとしたら産卵していたのかも知れません.この池でタベサナエは初めてです.タベサナエはいろいろなところに進出しているようです.
空は曇っていて日が射していません.しばらく待つことにしました.池の上をトラフトンボが飛んでいます.サナエトンボと違って,曇りでも平気なようです.観察途中に3回交尾態のトラフトンボも入ってきました.
10分ほどすると雲が切れ,日が射してきました.現金なもので,コサナエ属のトンボが入ってきました.オグマサナエです.まだこの池に生き残っていました.このオグマサナエ,その後曇ってきたら姿を消しました.
10:15ころ,少し向こうの木の陰で,1頭のメスが産卵しているのに気づきました.しかしカメラをマニュアルフォーカスに設定するため目を離した隙に,いなくなってしまいました.種名は分かりませんでしたが,淡色部が白っぽい黄褐色でしたので,オグマサナエの可能性もあります.昨日も同じ失敗をしたのに,カメラの準備がまたもやできていなかったのです.
その後10:30ころに日が射してくると,またコサナエ属のオスが入ってきました.写真を撮ると,今度はフタスジサナエでした.この池にも,コサナエ属3種が生息しているようです.
さきのオグマサナエは姿が見えなくなりました.メスは似たようなポイントに産卵に入りますので,先の産卵ポイントに立って待っていました.10:41,予想通り,そのポイントにメスが入りました.このメスは淡色部が黄色く,撮影しながら,フタスジサナエだなと思いました.ただ,ほとんど飛ばずに止まることが多く,飛んで放卵してすぐ止まる,といった感じでした.
その後も,入ってくるコサナエ属はフタスジサナエばかりです.ここもオグマサナエより圧倒的にフタスジサナエの方が個体数が多いようです.オスが足下に止まりました.
11:00少し前,再び同じポイントにメスが入りました.本当に面白いですね.池岸となっている堰堤は20mくらいあって,同じような感じに見えるのですが,長さにしてわずか1m程の決まったポイントに続けて入ってくる.メスの認知する産卵場所の微小環境が,どのメスでも似ているのでしょうか.それとも,学習効果でしょうか.
このメスは淡色部がやや白っぽかったので,ひょっとしたらオグマサナエかと希望的観測を持ちましたが,ほどなくファインダーからフタスジサナエであることが分かりました.フタスジサナエもちょっと食傷気味になってきましたので,オートフォーカスで写真が撮れるかどうか,途中から試してみました.結構うまくトンボの動きに追随してくれたようです.上の写真はすべてオートフォーカスです.
またオスが入ってきました.面白いことに,オスも必ずと言っていいほど産卵ポイントの近くに止まるんですね.堰堤を歩いても,他の所にはオスがいないのです.個体数が1,2頭なので,オスも自由に場所を選べる.そしてメスが産卵に入るポイントに止まる! 不思議です.
お昼が近づいてきました.11:15,池の水面の上を,対岸から一直線に飛んでくるコサナエ属のメスを目撃しました.私が待っている場所より2,3m左の方の岸に着きました.が,その後ターンして,やはりこのポイントに入ります! そのとき,上の写真のオスが絶好の位置で待っていて,あっという間にタンデム,そして交尾になりました.とりあえずは池岸に生えている木の葉に止まりました.
その後,足場が悪いと感じているのか,この交尾ペアは飛び立ち,池の外に生えているヌルデの葉に止まって,今度は腰を落ち着けて交尾を継続しました.もちろんこれは写真にいただきです.それにしても,このオス君,あっぱれです.
11:30を過ぎると風の温度が変わりひんやりしてきました.寒冷前線が近いようです.空も雲が多くなり,今日はここまでとしました.今日も結果的にはフタスジサナエの観察に終わってしまいました.結局オグマサナエは,最初の1オスだけでした.以前書いたように,オグマサナエの産卵は,やはり夕方をねらわないといけないようです.また暇があれば夕方攻めてみることにしましょう.