トンボ観察記
No.537. 真夏のトンボたち その十 タカネトンボの観察.2016.9.4.

台風の接近で雨の予報,それが曇りに変わり,結局はほとんど快晴状態.ということで今日はヤンマ観察の続きで,市内のオオルリボシヤンマを見に出かけました.しかし,オオルリボシヤンマはほとんどやってきませんでした.代わりにタカネトンボのオスが飛んだり,メスが産卵に来たりと,こちらの方で十分楽しめました.臨機応変にその日一番のトンボを観察するという鉄則で,タカネトンボの観察に切り替えました.

0904-000▲今日の観察地.ヒメコウホネの植生があって,樹林に囲まれている.

現地に入ったのは11時ころでした.空は青空.でもこういうときってタカネトンボは意外とやってこないのです.1時間ほどしたとき,オスが池の周りを飛び始めました.また,樹木で陰になっているところでは,ゆっくりと飛びます.

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0904-002▲薄暗いところでホバリングしながらパトロールするオス.

暗いところだけでなく,開けたところでも,摂食を兼ねているのでしょうか,ときどき子虫を追いかけたりしながら旋回しています.背景が暗い樹林なので夜の写真みたいになってしまいました.珍しく,時々木の枝に止まるのも観察しました.

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0904-004▲日向で摂食しながらのパトロール.樹林が背景で夜のようになった.

0904-005▲稀に静止する.このシーン,生まれて初めてタカネトンボを採集した時を思い出した.

ハイカーが私の隣でお弁当を食べ始めました.その方が,真っ黒のトンボがいる,と言ったので目を向けると,タカネトンボのメスの産卵でした.ハイカーに見られていたので緊張し,全ピンボケでした.でも,産卵に来ることが分かったので,こちらに集中しました.待つこと2時間以上,結局15時過ぎまで産卵には来ませんでした.でも,この産卵個体は結構長い間産卵を続け,近づいても逃げない個体でした.

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0904-009▲2頭目の産卵メス.長い間産卵してくれた.

その後,16時前に,またメスが目の前で産卵を始めました.やたら身体が赤く感じられる個体で,複眼も赤い感じに写っていました.

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0904-011▲5頭目の産卵メス.あちこち移動しながらヒメコウホネの間で産卵した.これも結構長い間産卵した.

この間にも,2個体ほど産卵に入ったのですが,ヒメコウホネの間に潜り込んでの産卵で,典型的な「岸辺」に水を飛ばす産卵ではありませんでした.ヒメコウホネの茎に水を飛ばしていたようです.

神戸市内でタカネトンボの姿が見られなくなってきたと感じていましたが,今日の観察で少しは安心しました.また,タカネトンボは産卵のストロークが大きく,写真に撮るのが難しいと感じていましたが,今日はやっと産卵メスにピントがあった写真が撮れほっとしました.