今年2回目のネアカヨシヤンマの観察です.今年はネアカヨシヤンマに2回遭遇しており,発生個体数が多い気配が感じられますので,今日は本格的にネアカヨシヤンマにねらいを絞って観察に出かけました.数年前の個体数の多かった時には,午後2時ころから4時ころにかけてたくさんの個体が産卵にやってきていました.ところが,今年はそれより少し早く産卵に来ているのを見ています.ということで,12時前に現地に着くように家を出ました.
ネアカヨシヤンマは真夏の昼下り,最も暑い時間帯に,日向で産卵する習性があります.もちろん日陰でも産卵します.今年の夏シーズンは「真夏の炎天下で活動するトンボたち」をテーマにしていますので,日向で産卵するネアカヨシヤンマの観察が目的です.ネアカヨシヤンマが日向で産卵するためには,湿地の表面水が乾燥によってなくなり,広く湿土が現れた時です.今年の夏は雨が少なく,きっとそういう状態になっているだろうと予想してでかけたところ.見事にそれが的中していました.
▲夏の日差しが照りつける日向で産卵するネアカヨシヤンマ.
ネアカヨシヤンマは,かなり乾いた土や朽木に産卵します.ヤブヤンマはほとんど土だけ,コシボソヤンマはかなり湿って水に浸かっているような朽木だけと,ネアカヨシヤンマの嗜好とは微妙に違っています.ヤブヤンマの産卵状況はNo.532の記事をご覧ください.特に日向で産卵するときは,土に卵を産みこむことが多いような気がします.乾燥を気にしているのでしょうか? それとも単に朽木が少ないからでしょうか.
▲日向では,土に産卵する個体が多い.
▲珍しく,日向で朽木に産卵している.
以前にも書きましたが,土に産卵するネアカヨシヤンマは,地面の窪みが好きです.私が作った長靴の跡などによく産卵しています.自然にはこういうことはありません.でもよく見ると,イノシシやシカの足跡の窪みに産卵しています.
▲私の長靴の足跡に産卵するメス.
▲獣の足跡に産卵するメス.
日陰で産卵するときには,朽木にも結構産卵しています.もちろん,日陰で土に産卵することもありますが,朽木が目立つのです.湿土に産卵するときはやはり窪みを選んでいます.平坦な湿土上に産卵管を突き立てることもありますが,すぐに産卵行動を止めて移動します.
▲日陰では圧倒的に朽木に産卵する個体が多い.
▲日陰でも湿土に産卵することもある.ただ,やはり窪みを選んで産卵している.
今年のネアカヨシヤンマの産卵は,12時40頃から始まり,14時30分ころには終わってしまいました.数年前の観察に比べるとかなり早く終わってしまいました.少なくとも4頭は産卵に来ていたように思います.最後に,木漏れ日の中でゆったりと産卵を続けるネアカヨシヤンマのビデオを紹介して,観察を終わります.なお,ビデオでは,朽木に産卵する場面と,湿土に産卵する場面が収められています.