トンボ歳時記
No.319. コシボソヤンマの遅い記録. 2011.10.8.

今日は,飛来種のアカネとミルンヤンマを目的にして,兵庫県の北部へ出かけてきました.最初は飛来種のアカネを探しによく飛来する湿地へ出かけてきました.しかしトンボの数そのものが少なく,結果は芳しくありませんでした.

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▲最初の観察地.

現地に着いたのが9:00過ぎで,晴れていました.でも湿地にトンボの姿が無く,わずかにアジアイトトンボとオオアオイトトンボが飛んでいるだけでした.仕方なくしばらく様子を見ていると,9:20くらいから,タンデムのアカトンボが,数ペア,湿地の上をびゅんびゅん飛び始めました.上空の方に飛び上がるものもありました.正体が分からなかったのですが,そのうちの一組が交尾を始めたので,近寄って撮影すると,アキアカネであることが判明しました.

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▲上:アジアイトトンボとオオアオイトトンボ.
 2,3段目:キトンボ.4,5段目:アキアカネの交尾とマユタテアカネ.
 下:ウスバキトンボ.

アキアカネは朝一番に湿地(草原)でメスを見つけ,タンデムを形成して,交尾を行い,あちこち飛び回ってから,産卵場所を決めて産卵をするようです.水田では産卵しか見ることがないので,こういった生態は目新しく感じました.

 その他には,キトンボ,マユタテアカネなどのアカネがいました.シオカラトンボやギンヤンマ,オオルリボシヤンマも飛んでいました.そんな中,羽化直後や羽化し手間がないと思われるウスバキトンボが.何頭か草につかまって休んでいました.これは今年最後の羽化個体になるのでしょうね.

さて,飛来種はどうも来ていないようなので,11:00前に,ミルンヤンマを見に行くことにしました.


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▲現地の様子と,川のそばにいたマユタテアカネ♀.

現地には12:00過ぎに着きました.マユタテアカネが出迎えてくれました.林には,日の光が木漏れ日となって差し込んでいます.ここという場所で,ミルンヤンマの訪れを待ちました.しかし今日はあまり飛ばず,3頭見ただけで終わってしまいました.1頭だけは私の待っている場所でくるくるまわって楽しませてくれましたが,後は通り過ぎただけです.しかし,思わぬプレゼントがありました.なんとこの時期にコシボソヤンマが産卵に来たのです.止まった木が固かったのか,すぐに飛び去ってしまいましたが,1枚だけ記録できました.

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▲コシボソヤンマの産卵.

コシボソヤンマの10月8日産卵という記録は,結構遅い部類にはいると思います.


コシボソヤンマが去った後,しばらく待っても何も来そうにないので,ここを後にし,別の場所に飛来種を探しに戻ることにしました.でも,現地に着いたのが15:30で,もう太陽は大きく傾き,アカトンボたちは高く飛び上がり始めています.ネキトンボ,ナツアカネ,アキアカネなどが見られただけでした.

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▲上から,ネキトンボ,ナツアカネ,アキアカネ.
 木の枝の高いところに止まり始めている.

ということで,コシボソヤンマの遅い記録だけが収穫という一日でした.難しい種をねらいに行くと,こんなふうにあまり成果がないことが多いものです.