兵庫県の幼虫ガイド
H059. ムカシヤンマ Tanypteryx pryeri
ムカシヤンマ終齢幼虫
写真1.ムカシヤンマ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長は30mm前後.2011.10.1.
<特ちょう>
 翅芽(しが)は左右に開かず,まっすぐ後ろにのびています.触角(しょっかく)はやや太く,写真2のように,節の数が6つしかありません.サナエトンボ以外の多くのトンボは,7節になっています.体はとても固くよろいを着ているようです.表面はざらざらしていて,いかつい感じの幼虫です.腹部の横のとげ(側棘:そっきょく)や,背中のとげ(背棘:はいきょく)はありません.

ムカシヤンマのしょっかく ムカシヤンマのせいかつじょうたい
写真2.触角(しょっかく)は,6つの節でできています. 写真3.水のわき出す地面に,穴をほって生活しています.


<似た幼虫との区別>
 その特ちょう的な形と,ほかのトンボにはない生活場所から,まず見まちがえることはないでしょう.


<さがす場所のヒント>
 ムカシヤンマは,水のわき出す場所で生活しています.とくに,しゃ面から,水がしみだしているようなところを好みます.成虫は,写真4のように,そういったところにやって来て,土やコケの中に,卵を産みつけます.かえった幼虫は,地面に穴をほって,その中に入りこんで生活しています(写真3).絶えず水がしたたり落ちていて,コケなどが生えているしゃ面があれば,じっくり穴をさがしてみるとよいでしょう.ただし,そういったところにはマムシが多いので注意してください.またサワガニが穴をほって生活しているときもあります.終齢幼虫は,夏から次の年の春までの間に見られます.

ムカシヤンマの産卵場所.
写真4.水がわき出ているしゃ面の,土の中に卵を産みつけているメス.