H060. オニヤンマ Anotogaster sieboldii
<特ちょう>
オニヤンマはヤンマ型の幼虫です.写真2のように,
翅芽(しが)は少し左右に開いています.
触角(しょっかく)は糸のように細いです.体はやわらかい感じです.腹部の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第8,9節にありますが,いずれも小さいです.背中のとげ(
背棘:はいきょく)はありません.写真3のように,
下唇(かしん)を引きのばして,
下唇側片(かしんそくへん)を見ると,その先がギザギザになっています.
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写真2.触角は糸のように細く,翅芽は左右に開いています. あしの脛節(けいせつ)がやや長くなっています. |
写真3.下唇側片の形.先がギザギザになっています. |
<似た幼虫との区別>
ヤンマ型の幼虫なので,ほかのヤンマと見まちがえるかもしれません.いちばんのちがいは
下唇です.オニヤンマは,
下唇がスプーンのような形をしていますが,ほかのヤンマは,うすっぺらい板のような形です.また,オニヤンマは
下唇側片の先がギザギザになっていますが,ほかのヤンマには,これほどはっきりとしたギザギザはありません.
<さがす場所のヒント>
オニヤンマは小川の住人です.写真4のように,メスは,流れの底にたまっている砂の中に,飛びながら,腹の先をつきさして,卵を産みつけます.ですから,川といっても,細くて浅いところを好みます.川の上流の浅いところや,浅い用水路,湿地(しっち)の浅い流れなどによく見つかります.
終齢幼虫は,夏の終わりから次の年の初夏まで,ほぼ一年中見られます.
写真4.浅い流れにやってきて,飛びながら,何度も腹の先を底の砂の中につきさして,産卵するメス.