H038. ウチワヤンマ Sinictinogomphus clavatus clavatus
写真1.ウチワヤンマぬけがら(羽化殻:うかかく).全長40mm前後.2008.7.5.
<特ちょう>
ウチワヤンマはぬけがら(羽化殻:うかかく)を見つけることが多いトンボです.それは幼虫がほとんど採れないからです.大型でとげがいっぱい目立つぬけがらです.腹部の第8,9節の外側の方に,黒いはん点が出ます.写真2,3のように,これは幼虫にもぬけがらにも見られます.このような形や色をした幼虫はほかにいませんので,まちがえることはないでしょう.
触角(しょっかく)は棒のような形をしています.腹部の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第3−9節にあります.背中のとげ(
背棘:はいきょく)腹部の第1−9節にあります.しかし,
背棘や
側棘を気にしなくても,特ちょうのある形で区別はかんたんです.なお,ぬけがらの
翅芽(しが)は左右に開きますが,生きた幼虫ではまっすぐ後ろにのびています(写真2).
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写真2.第3−9節に側棘がみられ触角は棒の形です. |
写真3.背棘は第1−9節に見られます. |
<さがす場所のヒント>
ウチワヤンマは大きな池や湖の住人です.しかし,ふつうに池をいくらすくっても,ほとんど採れることがありません.それは,池や湖のとても深いところで生活しているからです.ですから,みなさんがその姿を見られるのは,ぬけがらがふつうです.成虫のメスは,大きな池や湖の岸近くにやって来て,水面にうかんだ植物の枝や茎(くき)に卵をはり付けるように産みつけます.そのとき,ナットウのように糸を引くことがあります(写真4).
写真4.大きな池や湖の岸近くで,水面にうかぶ枝や茎に卵をはり付けます.腹の先から枝に,糸を引いているのが見えますか?