H008. アオハダトンボ Calopteryx japonica
<特ちょう>
アオハダトンボはカワトンボ型の幼虫です.体全体が固い感じです.
尾さいは長く,腹部の長さの半分以上あります(写真3上).
尾さいは固く,両側の
尾さい(
側さい)はぶ厚く,中央の
尾さい(
中央さい)はうすく板のようです.
触角(しょっかく)は第1節がとても長くなっています(写真2上).
<よく似た幼虫との区別>
アオハダトンボは,
ミヤマカワトンボや
ハグロトンボと,とてもよく似ています.このうち,
ミヤマカワトンボとは,体の大きさや,触角の第1節の長さで区別できます.写真3のように,
ミヤマカワトンボの
終齢幼虫は,尾さいをふくめた全長が60mmほどもありますが,アオハダトンボは40mmほどです.また写真2のように,
ミヤマカワトンボの触角の第1節は,アオハダトンボより明らかに長いです.
ハグロトンボとの区別は,とても難しいです.ほとんど区別ができないといってもよいでしょう.ただ,
終齢幼虫のメスについては,はっきりと区別する方法があります.アオハダトンボのメスの翅芽にたくさんのスジが走っていますが,その前のへりの先の方の部分が,少し曲がっているのです(写真2).
ハグロトンボは曲がらず,まっすぐです.これは,アオハダトンボのメスの翅(はね)に擬縁紋(ぎえんもん)とよばれる白い点があり(写真4を見てください),その部分のスジが曲がっていることから来ています.オスについては,翅芽の形が少しちがうことで区別します.翅芽の後ろのへりが,まっすぐになっているように見えるのが
ハグロトンボ,ゆるくカーブしているのがアオハダトンボです.これは,成虫の翅(はね)の形が少しちがうことから来ています.
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写真4.アオハダトンボとハグロトンボのメスの翅芽の比かく. アオハダトンボでは,前のへりの先のほうのスジが曲がっています. アオハダトンボの翅芽の後ろのへりは,ゆるくカーブしています. |
写真5.アオハダトンボとハグロトンボの成虫の翅(はね)の比かく. アオハダトンボの翅芽の後ろのへりは,ゆるくカーブしています. |
<さがす場所のヒント>
アオハダトンボは川の住人です.兵庫県では,水がきれいな,平地をゆったりと流れる川に住んでいます.写真6のように,メスは水の流れに流されている,植物の葉などに産卵します.ですから,植物のたくさん生えた川を好みます.成虫は,ふつう5月後半から現れます.産みつけられた卵はすぐにかえって幼虫になります.多くの幼虫は,冬までに
終齢幼虫になります.
ハグロトンボは,冬前に
終齢幼虫になるものが少ないので,春早く
終齢幼虫になっているものは,アオハダトンボの可能性が高いです.
写真4.川の流れにゆらいでいる植物の葉に産卵する,アオハダトンボのメス.