兵庫県の幼虫ガイド
H027. コシボソヤンマ Boyeria maclachlani
コシボソヤンマ終齢幼虫
写真1.コシボソヤンマ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長は35−45mmくらい.2012.6.16.
<特ちょう>
 ヤンマ型をした幼虫で,ミルンヤンマより大型です.このヤンマは池には住まず川で生活しています.写真1のように足の白黒のまだらが割合はっきりとしていて,写真2のように背中(腹の第8,9節)に白っぽいスポットがあります.写真1のように時々このスポットがはっきりしないものもあります.一番まちがいない区別点は,頭の後ろ角にとげがあることです.背中にとげ(背棘:はいきょく)はありません.腹の横には,写真2のようにとげ(側棘:そっきょく)がたくさんあります.腹の第8,9節の背中に明るい色のスポットが見られることが多いです.しかし,写真1のようにそれがほとんど目立たないものもあります.この幼虫は,手でつかまえると,体を反らして,固くなって動かなくなることがあります.いわゆる「死んだふり」をするのです(写真2:右).

コシボソヤンマの特徴
写真2.コシボソヤンマの特ちょう.頭の後ろ角にとげ,腹の第4−9節横にとげ,背中に白っぽい小さなスポットがある.右:死んだふり.


<さがす場所のヒント>
 コシボソヤンマの幼虫は川で生活しています.うす暗い林の中を流れていて,はばのあまり広くない川です.そういった川に生えている水生植物の根元の泥の中や落ち葉の中にもぐりこんでいます.成虫は,そういった川に倒れているかれ枝や木の幹に卵を産みます(写真3).8月に卵を産み,おそらく卵で冬を越し,春にかえって幼虫になると,幼虫で1年以上生活します.一年中幼虫はとれますが,羽化を観察したいときは,6月にとりに行くとよいでしょう.そのころに羽化が近い終齢幼虫が見つかります.

コシボソヤンマの産卵場所.
写真3.コシボソヤンマの産卵.コシボソヤンマは林の中のうす暗い川で,しめったかれ木に卵を産みます.