■見分けのチェックポイント
羽化殻全長47mm前後.クチクラが堅く発達し,側棘の目立つ幼虫である.後頭部側部に顕著な棘がある(矢印).側棘はふつう第4−9腹節にあるが,第4腹節のものがほとんど認められない個体がある(矢印).また腹面から見ると,第3腹節以前に突起物があるように見えるが(矢印),これは側棘ではなく,クチクラがひだ状になっているだけのものである.第8腹節背面に明るいスポット状の斑紋が現れる.♀の原産卵管先端は第9腹節後縁を越え第10腹節にかかる.
■分布と類似種
北海道から屋久島にまで分布するが,群馬県,山梨県では発見されていない.類似種はいないが,若齢幼虫ではミルンヤンマと見間違うことがある.日本産ヤンマ科の幼虫で第4腹節に明瞭な側棘のあるものはいないので,これを中心に総合的に判定すればまず同定できる種である.
■生態
流水性のヤンマで,河川上〜中流域に生息し,落ち葉の沈積物やツルヨシの根際などをさぐると採集される.採集すると弓なりに体を反らし,じっとして動かなくなることが多い.神経質で飼育してもうまく羽化させることができず,失敗に終わることが多い.