■見分けのチェックポイント
羽化殻全長17mm前後.明瞭な背棘が第4−9腹節にある.側棘は第8,9腹節にある.第8腹節の側棘は第9腹節の末端を明らかに越える(図のa>b).第9腹節の側棘は第9腹節の長さとほぼ同じまたはより長い(図のb≦c).側刺毛は11−13本で,基部の1本(図の番号12)は小さい.腮刺毛は14本前後.下唇側片上の褐色斑は明瞭である.
■分布と類似種
本州・四国・九州に分布する.北海道には別亜種のヒメリスアカネが分布する.DNA解析ではこれらにはほとんど差がないという(尾園ら,2012).背棘が第4−8腹節にあって,第8腹節の側棘先端が第9腹節後縁を越える,背棘と側棘だけで判別できないアカネ属は,ヒメリスアカネを除いて他に4種ある.このうち,マダラナニワトンボとナツアカネには下唇側片上に褐色斑がほとんどない.ナニワトンボは側刺毛が10−11本で体はひとまわり小さい.ノシメトンボとの区別が非常に難しく,腹部背面の斑紋の出方が少し違うこと,側棘の長さがノシメトンボの方がより長いこと,またノシメトンボに比べて腹部が円いという違いはある.しかし多くの場合判断に迷うであろう.
■生態
盛夏には,一部で繁殖活動が開始される.暗い林内の水辺の岸の上で打空産卵をする.秋になると林の隣接した池の岸辺で産卵する.幼虫はそういった池の底に堆積した落ち葉の中などにもぐっている.