■見分けのチェックポイント
羽化殻全長16mm前後.明瞭な背棘が第4−9腹節にある.側棘は第8,9腹節にある.第8腹節の側棘は第9腹節の末端をわずかに越える(図のa>b)が,時にちょうど第9腹節後縁と同じ位置に来るものがある(図のa=b).第9腹節の側棘は第9腹節の長さとほぼ同じまたはより長い(図のb≦c).側刺毛は12または13本で,基部の1本(図の番号13)は小さい.腮刺毛は15本前後.下唇側片上の褐色斑は小さく散在する程度.
■分布と類似種
本州・四国・九州に分布するリスアカネの北海道亜種で,北海道にのみ分布する.DNA解析ではこれらにはほとんど差がないという(尾園ら,2012).第8腹節の側棘先端が第9腹節後縁を越えるアカネ属のうち,北海道に分布するのは,本種以外にはナツアカネとノシメトンボだけである.これらいずれとも区別が難しいが,ナツアカネの下唇側片には褐色斑がほとんど見られず,ノシメトンボの下唇側片の褐色斑は本種より密度が高い傾向がある.ヒメリスアカネの中には第8腹節の側棘先端がちょうど第9腹節後縁に来るものがあって,アキアカネとの区別が難しくなる.この場合,側棘の形状の違いを見るくらいしか判別の手がかりがない(右欄外図).
■生態
生態や行動はリスアカネとほとんど変わらない(杉村ら,1999).水が引いて岸辺が露出した池に集まって産卵する.湿地にも生息していて,湿地の上空でホバリングしながら産卵するという(広瀬ら,2007).