トップ写真の解説
写真の場所は林の縁で,休耕田に隣接した場所です.卵,あるいは孵化した前幼虫は,どうやって水域までたどり着くのでしょう.どう考えても,卵が落ちた場所に水が来るとは考えられないのですが,雨水に流されるのでしょうか? これ以外にも,墓地横の溝で産卵するのを観察しています.打空産卵をする種には,こういった無駄な産卵が結構あるように思えます.
連結打空産卵.2009.9.20.
成虫
リスアカネは6月ころから羽化します.アカネ属の多くは盛夏には涼しいところで生殖休眠をすると考えられていますが,本種は梅雨明け直後にはもう繁殖活動を行っており,産卵も観察できます.今までに一番早い産卵の目撃は,2008年7月21日,加西市においてです.ネキトンボに次ぐ早さです.9月に入ると産卵が本格化します.水の落とされたため池の日陰部分が,産卵活動の行われる環境です.連結打空産卵を行い,後半は単独に移行することも多いです.
単独打空産卵,飛んでいる卵が見える.2010.9.18.
幼虫
リスアカネの幼虫は,ノシメトンボやナニワトンボともよく似ており,判別が難しいものの一つです.ナニワトンボは背棘が白っぽい色をしていて,正中線に白のラインが見えますが,リスアカネにはそれが顕著ではありません.ノシメトンボとは微妙に体斑が異なりますが,体斑には濃淡があり,信頼できる区別点にはなりません.結局同定のために羽化させるしかない場合があります.幼虫は,樹林に隣接した池縁の落ち葉の隙間などに潜っています.
関西トンボ談話会(1984)によると飼育卵期は40日となっており,7月に産卵が行われると年内に孵化する可能性があるのではないかと思ってしまいます.しかし本種は,水の引いた陸上に産卵するので,自然状態では孵化が抑えられるのではないかと考えられています.ところが,水位が下がっている場所で産卵されても,その後水位が上昇すると孵化する可能性があります.卵で越冬していると信じられていますが,幼虫で越冬している個体がいるかもしれません.
関西トンボ談話会(1984)によると飼育卵期は40日となっており,7月に産卵が行われると年内に孵化する可能性があるのではないかと思ってしまいます.しかし本種は,水の引いた陸上に産卵するので,自然状態では孵化が抑えられるのではないかと考えられています.ところが,水位が下がっている場所で産卵されても,その後水位が上昇すると孵化する可能性があります.卵で越冬していると信じられていますが,幼虫で越冬している個体がいるかもしれません.
スタジオ写真.2011.5.28.