■見分けのチェックポイント
羽化殻全長18mm前後で,全体的に細長い感じがする.背棘が第4−9腹節にある.時に第4腹節の背棘を欠く場合があるという(杉村ら,1999).側棘は第8,9腹節にある.第8腹節の側棘は第9腹節の末端を明らかに越える(図のa>b).第9腹節の側棘は第9腹節の長さより長い(図のb<c).側刺毛は11−13本で,基部の1本(図の番号13)は小さい.腮刺毛は13−16本.下唇側片上の褐色斑は明瞭である.
■分布と類似種
北海道,本州・四国・九州に分布する.背棘が第4−8腹節にあって,第8腹節の側棘先端が第9腹節後縁を越える,背棘と側棘だけで判別できないアカネ属は,他に5種・亜種ある.このうち,マダラナニワトンボとナツアカネには下唇側片上に褐色斑がほとんどない.ナニワトンボは側刺毛が10−11本で体はひとまわり小さい.リスアカネ・ヒメリスアカネとの区別が非常に難しく,腹部背面の斑紋の出方が少し違うこと,側棘の長さがノシメトンボの方がより長いこと,またリスアカネに比べて腹部が細長いという違いはある.しかし多くの場合判断に迷うであろう.
■生態
どちらかといえば平地のアカトンボである.比較的大きな,周囲が草原で囲まれた浅い池沼に多く見られる.東北地方では水田でも多く見られるという.秋になると,水のない岸辺に広がった草地で連結打空産卵する.