■見分けのチェックポイント
羽化殻全長16−18mm前後.明瞭な背棘が第4−9腹節にある.側棘は第8,9腹節にある.第8腹節の側棘は第9腹節の末端に届かない(図のa<b).第9腹節の側棘は第9腹節の長さとほぼ同じまたはより長い(図のb≦c).側刺毛は11または12本で,基部の1本(図の番号11)は少し小さい.腮刺毛は14−16本.下唇側片上の褐色斑は細かい.
■分布と類似種
北海道・本州・四国・九州に分布する.アカネ属はどれもよく似ているが,第9腹節に背棘があるのはあとオオキトンボだけである.アカネ属以外で第4−9腹節に背棘があるのは,コフキトンボ,チョウトンボ,ハラビロトンボである.これらとは,側棘の長さの違いや側刺毛の数の違いで区別できる.また外観もかなり異なる.オオキトンボとの区別が一番困難で,側刺毛が12本の個体は,オオキトンボと区別できないことがある.この場合,キトンボは下唇側片上の褐色斑が細かいことで区別できるかもしれない.
■生態
山地の谷池から平地の皿池まで,様々の環境の池に出現するが,水が透明で透き通っている池に多く見られる.植生の有無はあまり関係ないようである.秋に水位の下がった池の水際で打水して卵を腹部先端の水滴に浮かべ,打泥してその水滴を地面に飛ばすような産卵をする.コンクリート護岸壁で産卵することもある.また満水の時には産卵方法を連続打水産卵に変えて,池の中ほどで産卵する.成虫は,羽化後,羽化した池を離れて移動する.どこへ移動しているかは情報が少なくよく分からない.