■見分けのチェックポイント
羽化殻全長48mm前後.後頭部の側縁が後方に直線的にすぼまる(羽化殻の写真でははっきりしないが幼虫の全形図で分かるであろう).体表面は自宅で飼育羽化させても艶は出ず,つや消し状である.側棘は第5−9腹節にあり,第5腹節のものは小さいがはっきりと分かる.背棘が第8,9腹節にある.♀の原産卵管先端は第9腹節後縁を少し越える.肛上片は肛側片より少し短い程度で,その先端は上から見て二叉にならない.
■分布と類似種
本州中部以南以西(ただし中部地方の山地にはいない),四国,九州に分布する.外形はアオヤンマに似ているが,アオヤンマには背棘がない.日本産のヤンマで背棘があるのはネアカヨシヤンマだけであって,ヤンマ科幼虫の外観で背棘があれば,まず間違いなく本種と断定してよい.
■生態
湿地にある,直径数mの小規模な水たまりに生息している.そういった水たまりで,植物性沈積物や植生の根際などをさぐると幼虫がよく採集される.成虫は朽ち木や泥に産卵をする.写真は湿地に残された羽化殻である.