■見分けのチェックポイント
メキシコ産の♀標本による(coll. & det. by Dr. R.Novelo).終齢幼虫全長46mm前後.複眼は側後方にふくらむ.下唇側片内葉片の先端外縁は円くなっている(1).下唇前基節の最大幅と最大長の比は上の写真で1:1.80である.側棘は第7−9腹節にある.背棘はない.♀の原産卵管先端は第9腹節後縁にとどかない.尾毛先端は肛側片先端の1/2たらずの位置に,肛上片先端のほぼ1/2の位置にくる.肛上片は肛側片よりわずかに短く,先端は背面から見て二叉になる.
■分布と類似種
杉村ら(1999)の記述によると,小笠原諸島硫黄島で1995年に1頭採集されたのが国内での唯一の記録だという.したがって,幼虫が国内で採れることはまずないと考えてよい.下唇側片内葉片の先端外縁が円いことと,下唇前基節の最大幅と最大長の比から考えると,クロスジギンヤンマやリュウキュウギンヤンマと区別がつきにくい.♀の原産卵管がこれら2種よりは少し短い.
■生態
北アメリカでは長距離を移住する種として知られている.国内では1例の記録しかなく,偶産種であることは間違いない.