■見分けのチェックポイント
羽化殻全長52mm前後.複眼は側後方にふくらむ.下唇側片内葉片の先端外縁は円くなっている(1).下唇中片の最大幅と最大長の比は上の写真で1:2.0である.側棘は第7−9腹節にある.背棘はない.♀の原産卵管先端は第9腹節後縁にとどかない.♂の肛上片上の下付属器原器先端は,先端が少しへこみ二叉になる.尾毛先端は肛側片先端の1/2程度の位置にくる.肛上片は肛側片より短く,先端は背面から見て二叉になる.
■分布と類似種
南西諸島,南北大東島,小笠原諸島など広く離島や海洋島に分布する.以前から本種は遠距離を移動することが知られており,北海道,本州,四国,九州などにも数多くの記録がある.これらの多くは1998年に観察された大量飛来によるものである.しかしながら,幼虫が越冬し生活環が完結できる北限がどのあたりかについては,まだ確実な情報はない.筆者は沖縄本島で本種幼虫を採集したことがある.他のギンヤンマ属とは,下唇中片の最大幅と最大長の比が1:2.0程度であることで区別できる.
■生態
沖縄本島ではわずか2×3m程度の沈水植物の生えた小さな防火用水桶の中で見つかった(羽化殻全形図の個体).杉村ら(1999)によると,水生植物が繁茂する明るい大きな池に生息するとある.