■見分けのチェックポイント
羽化殻全長52mm前後.複眼は側後方にふくらむ.下唇側片内葉片の先端外縁は円くなっている(1).下唇前基節の最大幅と最大長の比は上の写真で1:1.85である.側棘は第7−9腹節にある.背棘はない.♀の原産卵管先端は第9腹節後縁にとどかない.♂の肛上片上の下付属器原器先端は,先端が少しへこみ二叉になる.尾毛先端は肛側片先端の1/2たらずの位置にくる.肛上片は肛側片より短く,先端は背面から見て二叉になる.
■分布と類似種
トカラ列島以南の南西諸島に分布する.ギンヤンマ属以外のヤンマ科各種とは,複眼の最前縁点が下唇前基節の最大幅より内側にあることで区別できる.ギンヤンマは下唇側片内葉片の先端外縁がほぼ直角に曲がっていること,オオギンヤンマは下唇中片の最大幅と最大長の比が1:2.0以上になることで区別できる.しかしクロスジギンヤンマは,♂については,肛上片上の下付属器原器が長い点がかなり明瞭だが,♀については現在のところ明確な区別点がない.ただ奄美大島以外では分布は重なっていない.
■生態
比較的日当たりのよい,水生植物の繁茂した池沼や水田で採集されることが多い.杉村ら(1999)によると,八重山諸島では,成虫は年中見られるという.