■見分けのチェックポイント
終齢幼虫全長32mm前後.後頭角に突起がなく円い.下唇中片の前縁,中央欠刻の両側に大きな1対の突起がある(1).下唇側片内葉片は先の方が途中からゆるやかに細まって先端外縁は円くなる(2).側棘は第5−9腹節にあり,第5腹節のものは非常に小さい.背棘はない.♀の原産卵管先端は第9腹節後縁を越える.尾毛先端は肛上片先端の1/2たらず,肛側片先端の1/2より明らかに基部よりの位置にくる.肛上片は肛側片よりほんの少し短く,先端は背面から見て二叉になる.羽化殻では見にくいが,第8(時に第9にも)腹節背面正中線上に淡色のスポットが現れる(幼虫全形図参照).
■分布と類似種
石垣島と西表島に分布する.トカラ列島以北にはミルンヤンマ,奄美大島,徳之島にはヒメミルンヤンマが分布していて,これらは外形がよく似ている.奄美大島のアマミヤンマ,西表島のイシガキヤンマも似ているが,これらは肛上片先端の肛側片先端に対する位置がより基部よりにくることで区別できる.しかし,本種はイシガキヤンマと分布が重なるだけで,同定に関する実際上の困難は少ない.
■生態
杉村ら(1999)によると,山間の森林に囲まれた陰湿な渓流に生息し,流れのゆるやかな,落ち葉などの植物性沈積物の多い,滝壺や淵に生息するという.筆者は滝のすぐ下流の岩の間にいる若齢幼虫を観察したことがある.