■見分けのチェックポイント
終齢幼虫全長30mm前後.後頭角に突起がなく円い.下唇中片の前縁,中央欠刻の両側に1対の突起がある(1).下唇側片内葉片の先端外縁はほぼ直角になっている(2).側棘は第5−9腹節にあり,第5腹節のものは小さい.背棘はない.手元に♀の標本がないが,Ishida(1994)によると,♀の原産卵管先端は第9腹節後縁を越えるという.♂の肛上片上の下付属器原器先端は尾毛先端より先の位置にくる.尾毛先端は肛上片先端の約1/2,肛側片先端の1/2より基部の位置にくる.肛上片は肛側片より少し短く,先端は背面から見て二叉になる.第8(時に第9にも)腹節背面正中線上に淡色のスポットが現れる(幼虫全形図参照).
■分布と類似種
奄美大島と徳之島に分布する.トカラ列島以北にはミルンヤンマ,石垣島,西表島にはサキシマヤンマが分布していて,これらは外形がよく似ている.奄美大島のアマミヤンマ,西表島のイシガキヤンマも似ているが,これらは肛上片先端の肛側片先端に対する位置がより基部よりにくることで区別できる.しかし,本種はアマミヤンマと分布が重なるだけで,同定に関する実際上の困難は少ない.
■生態
杉村ら(1999)によると,山間の森林に囲まれた陰湿な渓流に生息し,アマミヤンマより広い生息環境に広がっているという.