トップ写真の解説
チョウトンボは単独打水産卵を行います.メスはチョンチョンと水面を連続してたたきますが,これが意外とスピードが出ているようで,1/1250のシャッターでは止まりません.1/2000で,タイミングが合えば止まるというくらいのスピードです.山のようなピンボケの中の,何とか見られる一枚で上の写真です.
メスの単独打水産卵.打水の瞬間.2021.7.27.
成虫
チョウトンボは,ふつう6月ころから成虫が出現し始めます.盛夏の頃に個体数が増加し,秋には急激に減ってしまいます.10月になるとほぼ姿が消えます.メスは単独で浮葉植物の間の水面を打水して産卵します.産卵場所ではたくさんのオスたちがメスを捕まえるために闘争をしています.メスがおっとりと産卵に入ってくると,あっという間にオスにつかまり,交尾を強要されます.しかしメスにとってはこれはすでに織り込み済みのことのようで,短時間の交尾が終わると,かまうことなく産卵を再開します.
交尾.2016.8.8.
幼虫
腹部先端の第10節が第9節の中にめり込んだように凹んでいるのが特徴です.また腹部が短く,相対的に,翅芽の先端が腹部第7節の後縁に達するくらいの位置にきます.幼虫で越冬し,冬の間,終齢幼虫からかなり小さな幼虫までいろいろなサイズのものが採れます.初夏に産卵が始まってしばらくすると,また幼虫が採れ出しますので,ほぼ一年中幼虫が採れることになります.世代の切れ目が見いだしにくいので,飼育の幼虫期間298日(関西トンボ談話会,1984)からはおそらく一年一化を示していると思われますが,はっきりとしません.
スタジオ写真.2009.4.26.