トップ写真の解説
急流の真上で羽化しているメスです.一歩間違えて落下でもすればたちまち急流に飲み込まれ,第一巻の終わりになってしまうでしょう.羽化殻の爪だけが頼りでぶらさがっています.羽化というイベントが本当に危険なものであることが見て取れます.この日は最後まで見届けることができず別の場所へと移動しました.
メスの未熟個体.2009.6.13.
成虫
コヤマトンボは,だいたい5月下旬から6月にかけて羽化してくる初夏のトンボです.成虫は真夏にはほぼ姿を消します.オスは流れに沿って少し長い距離を往復で飛んでパトロールします.産卵は,流れの速いところで,岸近くのヨシの根際などに沿ってせわしく往復しながら,打水します.
オスのパトロール.2018.6.2.
幼虫
同じコヤマトンボ属のキイロヤマトンボに比べて,足の爪が短くなっています.また体も褐色で,体高がやや高いです.動きは緩慢で,肛門から水を噴射して移動せず,のんびりと歩くように移動します.幼虫はおそらく2年かかって成長します.ヨシの根際の泥の中などにもぐって生活しています.
スタジオ写真.2011.5.5.