グンバイトンボ属 Platycnemisとモノサシトンボ属 Pseudocoperaの区別
以上から,同定上注意しなければならないことは,対馬では基本的にチョウセングンバイトンボとし,グンバイトンボやモノサシトンボではないことを確認する必要があること,アマゴイルリトンボやオオモノサシトンボが分布しない地域ではグンバイトンボとモノサシトンボの区別,これらが分布する地域では,これらを加えた区別ということになる.次の手順で判定するとよい.
- 後頭条がある(1).♂には中肢・後肢に軍配状の広がりがある(2)・・・・・・・・・・・・・・ 2.
後頭条がない(3).♂に中肢・後肢に軍配状の広がりがない(4)・・・・・・・・・・・・・・・・ 3.
- 後頭条が後頭部後縁全体にある(5)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ グンバイトンボ
後頭条が左右の端にあって中央部は切れている(6).生息地が対馬である・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ チョウセングンバイトンボ
- ♂である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4.
♀である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5. - 腹部第9節・第10節はほぼ全体が淡色部である.第2側縫線上の黒条は細い(7) ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ モノサシトンボ
腹部第9節の背面は黒褐色で腹面は淡色である.腹部第10節はほぼ全体が淡色である.第2側縫線上の黒条は細い(7) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ オオモノサシトンボ
腹部第9節・第10節はほぼ全体が黒褐色である.第2側縫線上の黒条が太く明瞭(8)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ アマゴイルリトンボ
- 腹部第10節は全体が淡色である・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6.
腹部第10節の背面は大部分が黒色で腹面は淡色である・・・・・・ オオモノサシトンボ - 複眼内縁部の淡色斑は大きく発達し(9),第2側縫線上の黒条は細い(7)・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ モノサシトンボ
複眼内縁部の淡色斑はほぼ認められないかあっても細く,第2側縫線上の黒条は太く明瞭(8)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ アマゴイルリトンボ
グンバイトンボとモノサシトンボしか分布しない地域では,♂は,中肢・後肢の軍配状の広がりで,♀は後頭部の斑紋で区別するのがいちばんよい.グンバイトンボには後頭条があるがモノサシトンボにはそれがなく,淡色の斑紋が複眼内縁部と正中線近くにそれぞれ1対ずつある.
尾園暁・二橋亮・境良朗・日下部満,2022.日本初記録のチョウセングンバイトンボを対馬で発見.月刊むし (613):2-7.