トンボノート
No.915. 今日はトンボがいるところへ行く.2023.6.4.

昨日があまりにも欲求不満がたまる調査でしたので,今日はトンボが確実に見られるところへ出かけることにしました.つまり例年出かけているところに行くということです.

まずは源流域へヒメクロサナエとクロサナエを見に行くことにしました.今年はクロサナエの姿をまだ見ていませんので,そちらがターゲットです.朝8:20ごろに現地に入り,12;20ごろまで4時間粘りました.しかし成果はほとんどありませんでした.今日の予報は晴れなのに,日が差していませんでした.観察地の上空に帯状の雲があって,その両側は青空.なんで私のいるところだけが曇っているのだろう... 半日肌寒い時間を過ごしました.

サナエトンボは天気に左右されます.一時,薄日が差して少し温かく感じる時間帯がありました.そのときトンボたちに動きがありました.今日のヒメクロサナエのオスは止まろうとせず,メスが産卵しそうなところをのぞき込むような飛び方をして,どこかへ行ってしまいます.メスも2回ほど飛びました.そのうち1回,メスは水を飲もうとしたのでしょうか水面に衝突しました.目測でも誤ったかな? そして体が濡れ,すぐ近くの葉に止まって休憩しました.


▲水に落ちて慌てて跳び上がったヒメクロサナエのメス.

今日もクロサナエには出会えず,もう下りてくる場所を変えたのかなぁ? 今年は,Davidius 属がこの場所にあまりいません.帰りに Davidius 属のヒラサナエをのぞき込みましたが,やはり2頭だけでした.


▲ヒラサナエもこの2頭を見ただけであった.

今年はトンボの出現時期が例年と違うのか,どうも例年通りに出かけても思った通りに思ったトンボに出会えないことが多いです.

ということで,午後は,池の方に行くことにしました.ちょっと流れをのぞいてみると,ニホンカワトンボのオスがメスの後ろに止まり,何かメスにアピールしているような行動が見られました,


▲ニホンカワトンボのオスとメス.

池にはイトトンボたちがいました.イトトンボが当たり前にいることに安堵感を覚えます.オオイトトンボ,クロイトトンボ,モートンイトトンボなどが活動していました.写真になりませんでしたが,キイトトンボも連結態で飛んでいました.


▲オオイトトンボの産卵,途中からメスが潜水した.


▲産卵するオオイトトンボたち.

ちょうどオオイトトンボの産卵時間帯だったようです.あちこちで産卵している姿が見られました.一方モートンイトトンボの方は産卵時間帯が終わったのでしょうか,メスも摂食ばかりしていました.


▲モートンイトトンボは今がシーズンである.

クロイトトンボの数が一番多かったです.池の水面近くを飛び回り,あちこちで産卵もしていました.


▲産卵するクロイトトンボたち.

モノサシトンボも日陰に止まっていました.


▲モノサシトンボのオス.

まだ早春のトンボも生き残っていました.トラフトンボがクロスジギンヤンマを追い散らしています.こっちの方が小さいのにクロスジギンヤンマは追いかけようとしません.


▲まだトラフトンボが飛んでいる.


▲ホソミオツネントンボの単独産卵.

ホソミオツネントンボも産卵していました.連結産卵が2組いましたが,面白いのは上の写真のメスの単独産卵です.6月ぐらいになると,ホソミオツネントンボの単独産卵も時々見られるようになります.オスがいなくなるのでしょう.ただ,なおここでは別の意味で興味深い写真なのです.それは体が褐色をしていることです.この早春のホソミオツネントンボの観察で,「まだ青くなっていない」という言い方で褐色のメスを紹介していました.そのときこの個体は青くなるのだろうかと疑問を呈しておきました.この時期まで青くなっていないということは,ホソミオツネントンボには青くならない個体がいるという言い方をしてもよいと考えます.

あとコサナエも1頭見かけました.次はこの時期のトンボたちです.まずはショウジョウトンボ.もうすっかり晩春から初夏に現れるトンボになってしまいました.もう一つはハッチョウトンボ.今年も元気に出ていました.


▲ショウジョウトンボのストメス.メスは産卵にやってきた個体.


▲ハッチョウトンボのオスとメス.

シオカラトンボが一番たくさんいました.未熟な個体から成熟個体,交尾,産卵など様々な活動が見られました.


▲活動するシオカラトンボたち.

今日はキイロサナエの姿を探すことも目的の一つでした.池を離れて草原に入って探しました.キイロサナエには会えませんでしたが,ヤマサナエがいました.また樹上に飛び上がったトンボがいて,体が見える位置ではありませんでしたので,翅が見るように写真を撮ると,その縁紋の細長さからムカシヤンマであることが分かりました.


▲ヤマサナエ.午後だったせいか,草原にたむろしていた.


▲葉の上に止まったトンボ.縁紋が細長いことからムカシヤンマである.

今日はトンボがたくさんいました.これが普通なのですね.かつての神戸もそうでした.ということで,今日はおしまいです.