トンボノート
No.866. ハネビロエゾトンボを観に行った.2022.8.2

今日は外出を控えた方がよいと言われるぐらいの高温注意の日.日陰で観察できるハネビロエゾトンボを観に行きました.現地には9時過ぎに入りましたが,10時前まで全くトンボが飛びませんでした.今年は羽化期に流れが干上がっていたようなので個体数が少なくなっているのか? などと心配しましたが,なんとか2頭のオスと1頭のメスが入ってきました.

オスはいつもならずっと飛んでいるのですが,今日はすぐに止まろうとしました.


▲静止してメスを待つハネビロエゾトンボのオス.

オスと一緒にただただ待つだけの時間.ちょっと飛び方の違う個体が入ってきました.ただ打水することなく水面近くを飛んでいますので,ちょっとオスかメスが判別できませんでした.目の前を通ったときメスであることが確認でき,向こうへ打水しながら逃げていきました.


▲ただただオスと一緒に待つだけ.これは上と異なる個体である.


▲打水しながら逃げていくメス.上のオスにつかまった.

結局このメスはすぐにオスに見つかってお持ち帰りされました.普通メスは石の陰などに隠れるようにして同じ場所を行ったり来たりして産卵するのですが,このメスはまだ若いのでしょうか,流れの真ん中で「堂々と」打水していました.やがてオスに見つからないように産卵するように学習するのかもしれません.


▲このオスはメスが飛んでも動じることなく.私が帰るまで止まり続けていた.

その後,ハネビロエゾトンボの動きは全くありません.流れの横に座っていますと,10:45,1頭のヤンマが流れに入ってきて,木の枝に止まりました.ヤブヤンマのメスです.オスは先日来よく出会っていますが,メスとの接近遭遇は今年初です.


▲成熟したヤブヤンマのメス.カエルに食いつかれたような翅の破れがある.

ヤブヤンマの成熟メスの中のある個体には,複眼がラムネのガラス玉のように光るものがあります.ふつうは青緑色のものが多いようですが,時に濃い青色のものもあります.しかし少数ですがこのようにラムネのガラス玉のような輝きを持つ個体が見られます.この色は他のトンボには出ない色で,ヤブヤンマのメス,それもある個体(またはある時期)に独特のものです.ずっと以前に神戸で見たヤブヤンマがこの色をしていました(下の写真).久しぶりに出会えて,非常に嬉しいです.ところで,「ラムネ」ってご存じですか? 歳がばれそうです.


▲薄緑色のガラス玉のように輝くヤブヤンマのメスの複眼.

ネアカヨシヤンマのオスのマリンブルー,マルタンヤンマのオスの濃青色,ヤブヤンマのオスの水色,夏の黄昏ヤンマのオスはいずれも美しい青系統の色をしています.対して,マルタンヤンマやネアカヨシヤンマのメスの複眼は褐色系の地味な色彩です.ヤブヤンマだけが緑や青やこのような色に光り輝いています.もっともストロボの光を反射してのことですが...


▲2006.7.26 神戸市内.ガラス玉のように複眼が輝くヤブヤンマのメス.


▲ヤブヤンマメスの複眼の色彩の変異.

このあと,ヤブヤンマの産卵を観に行きましたが,不発でした.今日はこれで終わることにしました.車の外気温計は37℃を示していました.