トンボノート
No.797. ナゴヤサナエが生き残っていた.2021.7.18.

梅雨明けが宣言され,いよいよ夏が来ました.今日は,夏のヤンマなどを観察に出かけることにしました.目的地へ行く途中,ナゴヤサナエの生息地に立ち寄ることにしました.ナゴヤサナエは,2013年に観察して以来姿を見ることができないままでいました.その後も何度となく観察に出かけましたが,すべて不発でした.ただ,これまでは過去の成功体験に囚われ,夏の終わりから秋口にかけての観察ばかりでした.しかし真夏から出現していることは事実でしたので,今日は梅雨明けの夏一番に行ってみることにしました.

現地に着いて水面を見ますと,ナゴヤサナエらしいトンボが上流に向かって通り過ぎるのを目撃しました.すぐに姿が見えなくなったので,しばらく待ってみました.30分くらいしたとき,また現れました.写真を撮って確認すると,間違いなくナゴヤサナエでした.生き残っていたのです.

▲水面を独特のスタイルで飛ぶナゴヤサナエのオス.

これに気をよくし,ウェーダーをはいて,川に入りました.しかしその後30分以上待っても,すがたを現しませんでした.時間が経ち暑くなってきたせいかもしれません.また個体数が非常に少ないようです.これは後日仕切り直しです.もう少し季節が進めば個体数も増えるかも知れませんし….

ということで,次の目的地へ出かけました.夏のヤンマを見る前にちょっとだけ一つの池をのぞいてみました.オオイトトンボ,ショウジョウトンボ,チョウトンボ,シオカラトンボ,キイトトンボなどが活動していました.クロスジギンヤンマもまだ飛んでいました.

▲キイトトンボの産卵.

▲池の日陰を選んで飛ぶクロスジギンヤンマのオス.

さて,目的はヤブヤンマ.目的地に着いて,しばらく待ちました.オスが2頭入ってきましたが,数回旋回して飛び去りました.1時間ほど待ってもメスは産卵にやって来ませんでした.そこで,池の周囲を少し回ってみることにしました.私が待っていたところと反対側でヤンマが産卵していました.よく見ると,ネアカヨシヤンマでした.ネアカも早い時期から産卵しているのですね.









▲あちこち移動して産卵を続けるネアカヨシヤンマのメス.

例によって,あちこちを移動しながら,産卵を続けていました.まだ若いせいか,敏感で,近づくのが結構大変でした.ある程度追いかけ回したら,ヤンマの方も嫌気がさしたのか,産卵を中断して木に止まりました.

▲木に止まったネアカヨシヤンマのメス.

最後はこの時期の午後といえば,ヒヌマイトトンボです.今年は産卵が見られるか,というところです.なかなか産卵を見ることができませんでしたし,とにかく暑いので,長時間待つことができません.見に行ったときに産卵をしてくれていないととても体が持ちません.ところが,今日は,ジャストタイミングでした.何年も通って,初めてです.

▲ヨシの林の中で産卵をするヒヌマイトトンボ.

小さいので近づきたいのですが,ヨシの中で産卵しているので,近づくことができません.さらにヒヌマイトトンボの産卵中のメスは,モートンイトトンボと同じくらい敏感で,人間の気配を感じるとすぐに産卵を止めてしまいます.実はこの写真のメスは3頭目です.今日は他の2頭のメスも産卵行動をとったのですが,私の動いた気配でどこかへ消えてしまいました.これももっと近づきたかったのですが,もうこのままの位置で撮ることにしました.





▲ヒヌマイトトンボの産卵.

産卵観察中,背中に陽が当たり,ものすごく暑いです.長靴に当たる直射日光が強くて,長靴の中の足が痛いほどです.あとで気温を測ると37度ありました.体温より高い気温です.



▲ヒヌマイトトンボのオス.

だんだんと息苦しくなり,呼吸も上がって,ふらふらしてきました.熱中症になりかけなのかも知れません.ということで,まだ産卵を観察できるかも知れませんが,ここで終わりにしました.帰りはクーラーをガンガンにかけ,体を冷やしたところ,やっと平常に戻りました.いやはや,命がけの観察ですね(笑).

ということで,今日はおしまいにしました.疲れました.