トンボノート
No.775. オツネントンボとトラフトンボを探しに.2021.4.30.

今年は頼まれ仕事があって,オツネントンボを見つけたいと頑張っていますが,過去の産地へ出かけても,ことごとく出会えずじまいです.ひょっとしたら,何らかの原因で,数を減らしているのかも知れません.それと,トラフトンボの姿もまだ見ていないので,両方の記録がある,十数年前に調査した池に行ってみることにしました.この池は,谷筋に広がった水田地帯の一番奥にあって,水もきれいで,多分汚染も少ない池だと思われます.ずっと以前のこのトップページの写真として使った池でもあります.

池に着いて谷の奥の位置に入り,水面をながめていますと,トラフトンボのオスが水面を行き来していました.今年初めてのトラフトンボです.



▲トラフトンボのオスの飛行.やや風が強く,風上に向かってホバリングをしているところ.

写真を撮っていると,交尾態のペアが2,3度前を横切りました.しかし,目の前を産卵場所とすることはなく,飛び去ってしまいました.ついているときは目の前でメスを放して卵塊形成というふうになるのですが,そうはうまくいきません.

コサナエ属のなかまも,水面に突き出た棒や,ヒメコウホネの葉などに止まっていました.よく見ると,タベサナエとオグマサナエ.写真を撮ろうとすると,タベサナエがオグマサナエを追い回していました.オグマサナエのいる池にタベサナエが入ると,どうもオグマサナエの数が減るような気がしてなりません.タベサナエの方が強いのですかね?

▲ヒメコウホネの葉に止まるタベサナエのオス.


▲タベサナエは,池の周囲のあちこちで見られた.
▲オグマサナエのオス.池の突き出た棒に止まっていたが,すぐにタベサナエに追われて池の外に出た.
▲池の外に出て,鉄板に止まるオグマサナエのオス.滑るので翅をばたつかせている.

少し離れた池岸には,フタスジサナエも縄張り活動をしていました.この池は,オグマサナエ,タベサナエ,フタスジサナエと,コサナエ属3種が同所的に生息している池だったようです.

▲フタスジサナエのオス.池岸の草の中にとまっている.
▲フタスジサナエのオス.

ところで,肝心のオツネントンボですが,やはりここにも姿がありません.というか,毎回書いていますが,イトトンボの類いがまったくいないのです.下の写真のようにスゲがまばらに生える池岸なのですが,トンボたちには気に入らないのでしょうか.そんなとき,明るい褐色をしたイトトンボが水面を一瞬横切りました.それきり姿を見失ってしまったのですが,今時淡褐色のイトトンボといったらオツネントンボといっていいでしょう.でも,まだ未確認は未確認です.これ以外にはイトトンボの姿を見ずでした.

▲観察地の池岸のようす.アジアイトトンボぐらいいても良さそうですが,イトトンボ類は何もいませんでした.

あとはシオカラトンボとシオヤトンボがいただけです.ウーン,本当にイトトンボ類がいませんね.

▲池に来る途中の道で出会ったシオカラトンボのオス.少し粉を吹きかけている.

また次は,イトトンボを探しに行くことにしましょう.